米CyberArk Software(サイバーアーク)の日本法人は9月9日、記者会見を開き、ID管理サービス「Identity Security Platform」の国内提供を開始したと発表した。同社が提供している特権アクセス管理をはじめとした既存のソリューションを単一のプラットフォーム上に統合する。新機能の開発も進めており、シームレスなID管理と脅威の検出・防止ができることを訴求し、顧客獲得を狙う。
発売時点では、異常な特権アカウントをリアルタイムで検知する「特権アクセス管理」機能のみの提供となるが、半年から1年ほどをかけて「従業員・顧客のアクセス管理」「エンドポイント特権セキュリティ」「シークレット管理」「クラウド特権セキュリティ」「アイデンティティ管理」といった各種機能をプラットフォームに統合する。合わせて、ソリューションごとに提供していた管理画面も一元化することで、利便性を向上。オンプレミス、クラウド、ハイブリッドと環境問わず導入できることも特徴だとしている。
細田 博 本部長
既存製品のユーザーはライセンスを切り替えることなく、新サービスを利用できるとしており、今後は、機能の統合が行われるタイミングなどで提案していく方針だ。
加えて、ユーザーの振る舞いを一元的に分析することで、疑わしい行動や権限の不正使用を検知したり、調査や対応法を提供したりする「Identity Security Intelligence」、従業員に割り当てられた権限が適切かを自動で判断し、セキュリティリスクを評価する「CyberArk Identity Compliance」などの新機能の開発も進めている。
同社のソリューションズエンジニアリング本部の細田博・本部長は、企業のIDセキュリティ対策について、「複数ベンダーの製品をパッチワークのようにつなぎ合わせて利用している」と指摘した。
さらに、リモートワークの拡大や、特権IDの種類の増加など環境は変化しているため、従来の対策ではセキュリティレベルを担保するのが難しくなっているとの見方を示し「当社としては(IDを)シームレスに扱えるようにすることが顧客を守るために重要だと考えている」と、Identity Security Platformの提供理由を説明した。
会見では、9月1日付で新社長に就任した倉橋秀則氏も登壇。「サイバーアークはこれまで特権アクセス管理のリーダーとしてグローバルおよび国内で多くのお客様を獲得し、事業を拡大してきた。今後は特権アクセス管理を中心に、ID管理全般をカバーするテクノロジーソリューションカンパニーとして進化していきたい」と意気込みを語った。
(大畑直悠)