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デジタルアーツ、揖斐川町と共同でGIGA端末のルールメイキング事業を実施
2021/12/24 17:00
全国の児童・生徒に1人1台端末と高速ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」により、多くの自治体で20年度内に1人1台の学習用端末(GIGA端末)が導入され、端末を活用した学習が進んでいる。コロナ禍でのオンライン授業やICT活用による学習などが進み、さまざまな利点がある一方、端末を運用する上でのトラブルや端末を使ったネットいじめなどの課題も出てきている。GIGA端末の運用については、ルールをどのように・どこまで定めるべきかなど、教育の現場や有識者の間で議論が活発化している。
こうした中、揖斐川町では児童・生徒自身がGIGA端末を使うことの利点や課題を自分事として認識した上で、端末を活用するために注意すべきことや、やってはいけないことは何かを考えて利用ルールを作る機会が重要と考えている。そのため、同町では小学生のうちからGIGA端末の利用ルールを考えるための授業を実施することを決定し、デジタルアーツと共同で行うこととなった。
デジタルアーツではこれまで、CSR活動として全国の学校や地域に訪問し、家庭でのスマートフォン活用やインターネットでのルールやマナーについて、青少年やその保護者に教える「情報リテラシー授業」を実施してきた。こうした知見を生かし、揖斐川町とともに同事業で授業を実施した。
授業は、揖斐川町立谷汲小学校の児童全学年103人を対象に行った。まず、夏休み前に1回目の授業を行い、インターネット利用に潜む危険について講演した。講演で学んだことを踏まえて、班に分かれてGIGA端末の利用ルールを作ってもらった。ルールとしては、端末の利用時間や動画閲覧の可否など、インターネットの利用で気をつけることなどを決めた。
その後、自分たちで作ったルールで、夏休み中のGIGA端末の持ち帰り学習を行い、夏休み明けに児童が実際にルールを守れたか、その他気づいたことなどについてアンケートを取った。
アンケートでは、動画を授業や学びのために使いたいという意見があったため、2回目の授業では動画閲覧の良い側面と悪い側面について講演を行った。これを踏まえて、児童に動画閲覧についてどうすべきかを話し合ってもらった。
具体的には、動画閲覧について学習の利点や健康被害といった危険について学んだ後、改めて動画閲覧すべきかどうか児童にきいたところ、閲覧を許可した方が良いという意見と、閲覧禁止した方が良いという意見で約半数に分かれた。
動画を閲覧許可した方が良いという意見では、「理科の実験や図工の学習などで手順が理解しやすい」といった学習での利点が挙がった。一方、閲覧禁止した方が良いという意見では「学習に関係のない動画も自動再生されてしまう」「不用意な動画から偽広告や危険サイトを経由してマルウェア感染してしまう危険があるから怖い」など、自分で制御できない点でのリスクが挙った。
こうした児童の意見を踏まえ、揖斐川町では動画を閲覧する上で「動画を学習に活用していくには」という観点で、さらに児童に利用ルールを考えてもらい、その際フィルタリングによる制御機能も活用できることを伝えていく予定。
今回のルールメイキングでは、児童がインターネット上の危険について学ぶだけでなく、自身が考えたルールで実際に持ち帰り学習を行った。このことで、改めてGIGA端末の利点と課題(制御できないインターネットの怖さ)などを自分事として認識することができたと思われる。その結果、「学習に関係のない動画は見ることができない方が良い」という考えを児童自身が導き出した。
教員(管理者)やフィルタリングメーカーが一方的にルールを考えるのではなく、児童が実際に課題や危険について考え、体感できたことが今後の安全な活用の上での最大のポイントと考えている。揖斐川町では、このように小学生のうちに端末の利用ルールを考える機会として、年間を通じてルールメイキングの授業を行っていく方針で、保護者会での周知なども行われる予定。
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