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個人情報漏えい事案を業界別に比較、サイバーセキュリティクラウドが調査
2021/11/02 11:00
この調査では合計78件を対象とし、発生した個人漏えい事案を、公表した企業の情報に基づき、メーカー、小売、サービス・インフラ、ソフトウェア・通信、商社、金融、広告・出版・マスコミ、官公庁・公社・団体と八つの業界に分類している。
今回の調査対象期間で発生した78件の不正アクセスによる個人情報漏えい事案のうち、「サービス・インフラ」業界と「小売」業界でそれぞれ18件ずつ発生していた。また、情報漏えい事案の多かった上位三つの業界(サービス・インフラ、小売、メーカー)については、昨年に同様の条件で実施した「2019年10月~2020年9月間の不正アクセスによる個人情報漏洩事案に関する調査レポート」(2020年調査)で「小売」が第1位(24.0%)、「サービス・インフラ」が第2位(22.0%)であったものの、大きな変動がなかった。
調査対象事案の中で情報の漏えい元が上場企業(グループを含む)である事案の割合を算出したところ、事案が発生した企業のうち、未上場企業が約8割、上場企業が約2割となった。
未上場企業で発生した事案を、情報漏えい事案の多かった「サービス・インフラ」、「メーカー」、「小売」の3業界で比較すると「小売」が最も多くなり、事案の8割以上が未上場企業で発生しているという結果になった。
今回の調査結果を業界別で見ると「サービス・インフラ」、「小売」が高く、新型コロナの影響により巣ごもり需要が増加しサービス利用者数が急増し標的になったと考えられる。経済産業省が7月に発表した調査によると、20年の日本国内の消費者向けおよび企業間のEC市場規模は前年に比べて19兆3000億円(前年19兆4000臆円、前年比0.43%減)とほぼ横ばいであるものの、「旅行サービス」「飲食サービス」「チケット販売」の市場規模は大きく縮小し、物販系分野、デジタル系分野の市場規模は大幅に拡大した。
このように、対面でのビジネスからオンライン、デジタルへ急速にシフトする企業が増加するとともに、サイバー攻撃も増加、多様化の傾向にある。新規参入企業であってもサイバー攻撃の標的となっており、不正アクセスの被害を被るとブランド毀損や信頼喪失のみならず、被害の調査のため予期せぬ費用が発生したり、場合によって損害賠償を負担することもある。さらに、改正個人情報保護法の施行が22年4月1日に決定し、自社のサイバーセキュリティ対策の見直しが迫られる状況といえる。
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