さくらインターネットは10月26日、記者会見を開催し、経済産業省事業として開発・運用するクラウド上で衛星データの分析が可能な日本発の衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」Ver.3.0の提供を発表した。Ver.3.0では新機能として「Tellus Satellite Data Traveler(テルース サテライト データ トラベラー)を追加。衛星データの売買が可能となる。
記者会見にはさくらインターネットに加えてパートナー企業なども参加
記者会見で、田中邦裕社長は「インターネットサービスはローンチしてからビジネスとなる」と述べた上で「衛星業界でもインターネットサービスと同じようなスキームをつくりたい。衛星データを多くの方々に活用してもらいたい」との考えを示した。
さくらインターネットの田中邦裕社長
また、記者会見には経済産業省の藤木俊光・製造産業局長も参加。「Tellusの利用者は2万4000人を超えており、一定の成果を上げている。Ver.3.0は、これまで以上に強化している。幅広い人が幅広い用途で活用し、日本の宇宙産業や経済がさらに飛躍してほしい」と期待を込めた。
経済産業省の藤木俊光・製造産業局長
Ver.3.0の新機能では、顧客が衛星のセンサーの種類や時刻、AOI(関心領域、Area of Interest)などを指定、検索、購入が可能。加えて、任意の環境に衛星データの保存なども行うことができる。
「Tellus Satellite Data Traveler」の操作画面イメージ
今回、Tellusで衛星データを販売するにあたって、日本スペースイメージング(JSI)、日本地球観測衛星サービス(JEOSS)、パスコの衛星データプロバイダー3社とパートナーシップを組んだ。JSIの「Maxar社の衛星」とJEOSSの「ASNARO-2」のデータは、10月26日から販売している。パスコの「ASNARO-1」と今年度打ち上げ予定の「ALOS-3」のデータは、今後順次販売を開始する。
田中社長は、「日本だけのプラットフォームというものだけではなく、アジアパシフィックのプラットフォームを目指す」と意気込んでいる。なお、さくらインターネットではTellusのデータを利用したサービスを創出してもらうためのデータやツールを提供するサポートプログラムでアプリケーション開発を行うパートナー企業を支援していく。(佐相彰彦)