レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは6月29日、医療業界向けソリューション戦略について記者説明会を開催した。医療業界が抱える課題と、課題解決に向けての事業計画の一端を説明。現在、多くの病院では電子カルテを中心にさまざまなシステムが導入されているが、各システムが連携できていないなど、課題は多い。そのため、同社はHCIやデータ移行サービスを活用したソリューションの提供を強化することで、顧客獲得を進める方針を示した。
ジョン・ロボトム代表取締役社長
説明会の冒頭で、ジョン・ロボトム社長は「少子高齢化社会において、ヘルスケアはこれまで以上に成長していく分野となる。デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みも進むため、より注力していく」と述べた。
鷲崎達也・統括本部長
続いて、国内の医療情報システムの現状と課題についてエンタープライズ営業統括本部の鷲崎達也・統括本部長が説明。「多くの病院では、電子カルテシステムを中心に会計システムをはじめとしたさまざまな部門のシステムがぶら下がっている状況だ」と指摘した。その結果、医療情報システム運用基盤のサイロ化、データ移行ができないことによるコストの上昇、システムの老朽化を原因とした障害の多発といった課題が発生しているとした。
鷲崎統括本部長は、「これらの課題に対して、当社のソリューションを積極的に提案していく」と話す。運用基盤のサイロ化に対しては、仮想化による統合基盤とHCIを提供。データ移行の課題については、マルチベンダーによるデータ移行サービスで対応する。また、システムの老朽化に対してもHCIを採用することで拡張性が容易になることを訴求していく考えを示した。
その他、中小規模の医院、クリニックにパッケージ製品「クリニックモデル」の導入を進める。「松」「竹」「梅」と三つのパッケージで展開。例えば、中規模の病院を対象とした松の場合、HCI「ThinkAgile MX 4ノード」にUPSとバックアップサーバー、システム運用・保守サービス(オプション)をパッケージ化してサブスクリプションで提供する。
また、同社の地域医療連携についての取り組みも紹介した。鷲崎統括本部長は、「地域医療連携システムの利用率は3%前後と非常に低い。データを大手病院に吸い上げられる不安や個人認証方法が確立できていない、法制度が遅れているなどの要因もあるが、外部接続(クラウド接続含む)に向けた基盤整備、セキュリティ対策の遅れの影響も大きい」と説明した。同社では、東京・秋葉原のハイブリッドクラウド検証センターを活用し、クラウド導入を検討している中小の病院に対して、検証環境を提供するなど支援を行っているという。(岩田晃久)