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パナソニックCNS 顧客との共創拠点をバーチャル化 コンテンツづくりは“対話の促進”を意識

2020/11/19 09:00

週刊BCN 2020年11月16日vol.1850掲載

 パナソニックの社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社(CNS、樋口泰行社長)の「バーチャルカスタマーエクスペリエンスセンター」がユーザーに好評だという。ソリューション型提案のための顧客接点ハブ機能と位置付ける「カスタマーエクスペリエンスセンター(CXC)」を文字通りバーチャル化したサービスで、オンラインでのコミュニケーションが主流の“ニューノーマル”な営業活動を支援する機能として社内の期待も大きい。

CXC課の河野広明課長(右)と吉広千恵氏
 パナソニックは近年、プロダクト販売からソリューション提案型のビジネスに軸足を移す方針を鮮明にしており、CNSがその先鋒を担う。エレクトロニクスメーカーとして蓄積してきた生産技術やプロセス管理のノウハウを基に、顧客の現場の課題を解決するためのコンサルやプロジェクトマネジメントなどの機能を収益源として拡大しようとしている。

 CXCは、同社が提供できるノウハウやソリューションを顧客に体験してもらうとともに、同社のコア技術を活用した顧客との共創プロジェクトを進める拠点として、2019年1月に東京の本社ビル内に開設された。エンタープライズマーケティング本部グローバルマーケティング部の河野広明・CXC課課長は「CXCはショールームとは別物で、パナソニックが顧客の課題解決のためにどのような価値を提供できるのかをご理解いただき、ソリューション型案件の創出につなげていく場所」だと説明する。
 
バーチャルCXCのイメージ

 オープン以来、CXCには月平均で70社ほどが来場して案件創出も順調に進んでいたが、新型コロナ禍により一時期は閉館し、再開後も来場者はコロナ以前と比べて6割減となっていた。そこで同社は、6月にCXCのバーチャル化の準備を進めた。施設内の実写画像を組み合わせて3Dのバーチャル空間を構成し、デモ設備を選択すると実際の活用シーンなどを紹介する動画も視聴できる。

   河野課長は「CGではなく実写をうまくつないでつくったことで構築も短期間で済んだ。それよりも試行錯誤を重ねたのは、ソリューションを紹介するコンテンツづくりのほうだった」と話す。例えば、デモの紹介動画には音声による説明は入っていない。CXC課の吉広千恵氏は「当社の営業担当者がアテンドして、お客様との会話につなげることを重視した。Web会議などはアジェンダがきっちり決まっていることが多く、なかなか新しい提案をするのが難しい。バーチャルCXCのコンテンツは、新たな対話のきっかけになるように最適化した」と解説してくれた。

 バーチャルCXCを利用したいという顧客からの問い合わせも増えているが、社内の営業チームからもポジティブな反応が多いという。「ソリューション提案の新しい営業スタイルを確立する基盤にしたい」と河野課長は意気込む。(本多和幸)
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外部リンク

パナソニック コネクティッドソリューションズ社=https://www.panasonic.com/jp/corporate/cns.html