ニュース

アイシングループ、量子コンピューティング研究で米QC Wareと協業

2020/06/08 15:15

 アイシン精機(伊勢清貴社長)は6月4日、アイシングループと米QC Wareがデジタル変革を推進する量子コンピューティング研究で協業し、自動車アプリケーションでの量子最適化と量子機械学習アルゴリズムの影響を調査する研究協力について公表した。今回の研究では、市販の量子コンピューターであるD-Wave SystemsとRigetti Computingを利用した。

米QC WareのWebサイト

 QC Wareとの協業について、アイシン精機の技術開発本部部長の江口勝彦氏は、「自動車業界は、次世代のモビリティの新しい変遷に対応するために大幅に変化する必要がある。そのなかでアイシンは、デジタル変革を推進し、新たな付加価値製品をグローバル市場に提供することを目標とし、イノベーションと未来志向の研究開発に焦点を当て、技術力を継続的に構築している。QC Wareとアイシンの研究は、オートマチックトランスミッションのソフトウェアの品質保証を含む、重要な自動車部品設計の課題の解決に重点を置いている。また、ロジスティックサービスのビッグデータ計算での計算のボトルネックを解消する方法についても調査している。量子コンピューターが商用利用できるようになる時までに、最高の量子コンピューティングスキルを十分に備えたい」と述べている。

 International Data Company(IDC)のシニアリサーチアナリストであるヘザー・ウェスト氏によると、IDC独自の調査の結果、ほとんどの製造業メーカーが量子コンピューティングに高い関心を示している一方で、ほとんどの会社は、その複雑なテクノロジーと知識・技能不足により量子コンピューターに手を付けられずにいることがわかった。

 IDCリサーチディレクターのピーター・ルッテン氏は、「QC Wareは、顧客のための実用的な計算を行うには興味深いトップダウンのアプローチをもっている。異なる産業ユースケースのアルゴリズムを構築し、最も適切なハードウェア上でそれらのアルゴリズムを実行することにより、ハードウェアの選択という問題を抽象化し、顧客がソリューションの検索に集中できるようにすることができる」としている。

 また、ルッテン氏は、「アイシンは量子コンピューティングを取り入れることで、従来の手法以外で課題を克服することできるようになった。QC Wareのアルゴリズムの専門家との共同研究により、その後2つの実証実験も開始している」と述べている。

 QC Ware 最高経営責任者のマット・ジョンソン氏は、「アイシンは、日本とグローバルで新興ハイテクや研究イニシアティブの最前線にいる。私たちの研究コラボレーションの主な目的は、競争力を高めるための知識の転換と量子コンピューティングスキルの構築だが、QC Wareでも、量子アルゴリズムが自動車業界の現在と将来のニーズにどのように対処できるかを理解するのにも役立つ」とコメントしている。
  • 1

関連記事

アイシン精機、賢いパーソナルモビリティを事業化、まずはショッピングセンターから

<標準化の波が車載システムを襲う 黒船 AUTOSAR>第3回 制御とADASの両方を視野に 米大手メンターはアイシン精機に納入

外部リンク

アイシン精機=http://www.aisin.co.jp/

米QC Ware=https://qcware.com/