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Azureを軸にしたクラウドシステムのフロントランナー、アバナード
2020/02/26 17:30
SIや運用保守、マネージドサービスまで一気通貫でサービス提供する同社の中心はAzureを使ったクラウドシステム。ここ2~3年でクラウド案件が本格化している。鈴木 シニアディレクターはアバナードの強みを「アマゾンのAmazon Web Services(AWS)は、Infrastructure as a Service(IaaS)というインフラの仮想化に強い。われわれが強いのはPlatform as a Service(PaaS)。やはり、ビジネスでの活用を考えると、インフラをクラウドに持って行くだけでは不十分。アプリケーションのアーキテクチャーをきちんとクラウドに最適化していくことが重要だ。業務システムのクラウド化などを包括的に進めながら、クラウドの運用保守までカバーできる」と話す。
現在走っている案件は「100%クラウドといっていい。オンプレミスの案件はほとんどない」(鈴木 シニアディレクター)という同社。マイクロソフトやアクセンチュアとのつながりから大手の顧客が多い。最近は金融系の顧客が増えており「クラウド化にあたり、本当にセキュリティは大丈夫か、個人情報保護的な観点ではどうなのか、といった部分を問われることもある。日本の事例はもとより、グローバルな知見を求められることも少なくないが、アバナードの欧米での豊富な経験がものを言う。特に米国は速い。どんどん使ってみる。利用率で考えれば、日本より3~4年は進んでいると思う。その事例をお見せできる」という。
最近多いのはオンプレミスのシステムをクラウドに持っていきたいという相談。企業全体でクラウドをどう活用していくかがゴールになる。「実際は、AWSもGoogle Cloud Platform(GCP)もオンプレもある。Azureを標準のパブリッククラウドとしても、それだけでは成立しない。しかも、リリースまで1年といった悠長なことも許されない。グローバルの知見を日本の顧客の中で最適化し、全社レベルでのクラウド活用を広げていきたい」と鈴木 シニアディレクター。
25年に迫るSAP ERPソリューションのサポート終了に伴ったクラウド化のニーズも高まっている。「Azureに乗せる選択をするにしても、SAPの周辺にいろんなシステムがある。それをひっくるめて動かす必要がある。われわれはSAPサラウンドという言い方で提案している。もともとアクセンチュアはSAPに強い。マイクロソフトの知見も加えて、ソリューションに力を入れている」。
社内の教育体制については、PaaSに強い人材の育成がキーポイント。「07年につくったCenter of Excellence(COE)という横断的な部署が教育を主導する。入れ替わりはあるが、専任の講師が担当。マイクロソフト製品にかかわる基礎的な部分はマイクロソフトに依頼し、実践的部分は現場の経験者が実施する。いろんなプロジェクトを得た経験をシェア。座学だけでなく、実際に手を動かハンズオンもやりながら、スキルアップを図っている。Azureが中心だが、AWSもGCPも使いながらマルチクラウド・ハイブリッドでのニーズにも対応できるよう体制を整えつつある」という。
今後の方向性として、鈴木 シニアディレクターは「まだまだメインフレームからの移行ニーズも少なくない。AS/400でCOBOLが走っているというシステムも残っている。そこからの脱却を支援したい。メインフレームからAzureへ流れだ。海外では実際に事例があり、現在も進行している。方法論やツールもあるので、日本の顧客にも提供していきたい。特に巨大システムのクラウド化も進めていきたい。日本では560人程度の陣容。手掛けられる案件数には限りがあるが、年間1~2件は動かしていきたい」と話した。Azureを中心にするマイクロソフトのエコシステムを十二分に生かせる環境と、アクセンチュアのコンサル能力を兼ね備えるアバナード。日本のDigital transformation(DX)のカギを握るプレーヤーの1社といえるだろう。(BCN・道越一郎)
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