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レノボ・ジャパン NEC米沢がThinkCenterのCTOに対応 生産ラインを強化し顧客満足度向上を目指す
2020/01/23 09:00
週刊BCN 2020年01月20日vol.1809掲載
レノボ・ジャパン(デビット・ベネット社長)は19年11月18日、法人を中心にニーズが強いデスクトップPC「ThinkCenterシリーズ」のうち、一部モデルのCTO(カスタマイズ生産)を日本で展開すると発表し、11月22日には「ThinkCenter 米沢CTO 出荷式」を開催した。レノボ・ジャパンとNECのジョイントベンチャーであるNECパーソナルコンピュータ(NECPC)の米沢事業場(米沢工場)に新たにラインを追加し、20年2月からCTOモデルの本格展開を目指す。
今回のCTOの対象モデルは「M720s Small」「M720q Tiny」「M920s Small」「M920q Tiny」の4種類で、いずれも薄型省スペースのモデルだ。従来、レノボブランドの法人向けデスクトップPCは海外の生産拠点で生産していたため受注から納品まで2~3週間が必要だったが、これを最短5営業日で納品できる体制へと改善する。20年2月からの本格展開に備え、19年11月18日から約2カ月のパイロット期間で標準構成製品の生産を行い、受注オペレーションや生産ラインの習熟を目指す。
「レノボはものを効率的に作ることが得意だったが、一方で犠牲にしているものがある」とベネット社長は語る。現在は「従来の効率を重視していた経営理念から顧客満足度を重視する方針に転換。ユーザーの声から学び、改善につなげるプロセスが出来上がっている」という。同社では顧客満足度向上のため、代表的なブランド「ThinkPad」の設計基準に200以上の項目を設定しているほか、保証期間中の故障の95%を24時間以内に終えられる体制づくりを開始している。
「足りなかった納期を補強」
ベネット社長が投資目的を強調
これらの取り組みはこれまでレノボグループが進めてきたM&A戦略によって実現した。レノボグループは、04年にIBMのPC事業を買収しThinkPadブランド、11年にはNECのPC事業を傘下に収めている。これにより両社のブランド共に拠点を手に入れており、現時点で設計・修理・生産のそれぞれでレノボグローバル大和研究所、NECPC群馬サービスセンター、NECPC米沢工場を持つ。外資系PCメーカーとしては設計・修理・生産を全て日本国内でカバーする唯一の企業となる。今回の米沢工場での新ライン追加は、レノボグループの中でも3番目の規模を持つ日本市場への期待が反映されている。直近ではWindows 7のEoSに伴う買い替え需要の反動減が予測される一方で、中長期的には働き方改革などの需要により市場が拡大すると判断した形だ。ベネット社長は「法人向けデスクトップPCのCTOを国内で始めるまでに少し時間がかかった。それはバックエンドやロジスティクス、サプライチェーンなどの関係によるもので、逆に言えばそれだけ大きな投資だったということ。好調な日本市場の状況からから投資を決断し、パートナーとともに今のレノボに足りなかった納期を補強した」と強調した。
日本最高クラスの品質を誇る
NEC米沢工場の生産ラインの秘密
今回「ThinkCenterシリーズ」の一部モデルの生産を開始したNEC米沢工場。その出荷式では工場の見学ツアーも開催され、同工場での高品質にこだわった生産方式のキモは現場からの改善活動とITによる徹底したシステム化だと明かされた。現場の声を視覚化するため、同工場で導入しているのがVOC(Voice of Customer)制度。具体的には、従業員が気づいた問題や課題があった場合、それを工場内に設置されているボードに掲載し、その対応を各担当部署の管理者に割り振る。各担当者は基本的に1週間以内に何らかの回答・対応をしなければならない。提案の内容は物品の位置といったものから機材損壊の報告といった安全にかかわるものまで幅広く、ドライバーの位置を固定化するための「電動ドライバー揺れ防止機構」やネジ締め位置のテンプレート化といった施策は、こういった現場の声から実現したものだという。
一方で、ITシステムによる効率化も進み、同工場ではERPシステムとの連携やRFIDを管理システムなどを取り入れている。これにより顧客情報に対応したカスタムメイドや組み立ての時間短縮につながっているという。
こういった取り組みで、レノボグループが目指す2万通りのカスタムメイドと最短5営業日での出荷に対応する。現在、同工場の取り組みはトレーニングプログラムとして体系化され、中国工場でも展開されている。現在約1万人の従業員がこれを受講しており、同工場のノウハウがグローバル全体の品質向上へとつながっているという。
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