東京大学（五神真総長）とIBMは12月19日、量子コンピューティングの技術革新と実用化に向けたパートナーシップ構築を推進するための覚書を取り交わしたと発表した。

　
　これに伴い東京大学とIBMは、他大学や公的研究機関、産業界が幅広く参加できる幅広いパートナーシップの枠組みである「Japan‐IBM Quantum Partnership」を設立する。このパートナーシップでは、（1）産業界とともに進める量子アプリケーションの開発、（2）量子コンピュータシステム技術の開発、（3）量子科学の推進と教育――の3つの取り組みを進める。

　同構想で、IBMは所有・運用するIBM Q System Oneを日本国内のIBM拠点に設置することを予定している。アジア太平洋地域では初めて、全世界でも米国、ドイツに続いて3番目の導入となる。Q System Oneは、量子アルゴリズム、アプリケーション、ソフトウェアの研究を進めるために使われ、量子コンピューティングでの最初の実用的なアプリケーション開発につなげることを目指している。

　また、東京大学とIBMは、次世代量子コンピューターで使用するハードウェアを含む技術開発を行うための世界初の量子システム技術センターを東京大学キャンパス内に開設する。このセンターには、量子コンピューティング向けの新しいハードウェア部品の開発を行うため、極低温技術とマイクロ波テスト機能を含む実験設備を整備する。

　加えて、量子コンピューティングの主要な基礎研究テーマについて共同研究を行うとともに、東京大学キャンパス内に研究交流スペースを設置し、学生、教職員、産業界の研究者が参加するセミナー、ワークショップなどのイベントを開催する。

　東京大学は、Japan-IBM Quantum Partnershipを率いて、大学や公的研究機関が有する卓越した学術知を、とくに量子プログラミングとアプリケーションと技術開発のためのスキルや専門知識を中心に大企業やスタートアップ企業などに広く提供していく。