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週刊BCNがSIer・リセラーのためのビジネスセミナーを大阪市で開催、DXなしで日本企業は生き残れない!

2019/12/19 16:00

 週刊BCNは12月6日、大阪市で「全国キャラバン 2019 in 大阪 SIer・リセラー必見! 有力商材で広がるITビジネスセミナー」を開催した。同セミナーは法人向けITビジネスに取り組むSIerやリセラーを対象に全国各地で開催しているもので、大阪市での開催は今年2回目。6社のソリューションベンダーが集まり自社の主力製品を紹介したほか、識者が業界動向を解説した。

 基調講演で登壇したのは、IT記者会の佃均代表理事。「データ活用について、もう一度考える 情報処理促進法改正が意味するもの」と題し講演を行った。
 
IT記者会の佃 均代表理事

 経済産業省は10月15日、「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことを発表している。佃氏はこれを取り上げ、「国の取り組みとしてここまで踏み込んだ施策はかつてなかった」と言及。一連の施策にはデジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組みにこれまでにない危機感を持っている表れだとし、その理由として「このままいくと日本の産業の国際競争力が失われるし、価格競争もできなくなる。日本企業の存続自体が危うい」と警鐘を鳴らす。これらの状況を打破するためには「向こう10年の転換期の中でビジネスプロセスを見直し、適切なデータモデル、サービスモデルを作っていく必要がある」と呼びかけた。

 続いて6社のソリューションベンダーによるセッションが行われた。セッション1で登壇したのはシーディーネットワークス・ジャパン チャネルセールスチーム チームリーダーの堀井義貴氏。堀井氏は「Web高速化だけじゃない! CDNベンダが提供するネットワーク高速化サービスの効率的活用術、教えます」をテーマに同社のCDNサービスとその応用方法について説明した。
 
シーディーネットワークス・ジャパン チャネルセールスチーム チームリーダーの
堀井義貴氏
 
 「今の時代、Webサイトは速くて当たり前になっている」と堀井氏は話す。「待ち時間が3秒すぎるといら立ちを覚えはじめ、5秒を越えると74%のユーザーがほかのサイトに流れてしまう。多くのユーザーは即時性を求めている」と強調する。同社のCDNサービスは数十Tbps近くのキャパシティを持ち、中国を含むグローバル規模でサービスを展開している。また、同社では一般的なCDNサービスとは別にセキュリティに特化したサービスを用意。堀井氏は「Webを安定化させた後は守ることが重要になる。DDoS攻撃などをブロックし、ユーザーのサーバーにはクリーンなトラフィックだけを届けることができる」とし、金融や鉄道といった可用性が求められる業界で評価を得ていると語る。そのほかにも同社では「WAFサービス」や、海外区間のデータ通信を高速化する「クラウド型WANアクセラレータ」などを用意。幅広いユーザーのニーズに応える。「グローバルで展開する企業ではあるものの、日本の市場に合ったサポートをしていきたい」と会場に呼びかけた。

 セッション2では「その働き方改革、隠れ残業対策できていますか? CLOMO MDMで始める働き方改革とは」をテーマにアイキューブドシステムズ CLOMO マーケティングスペシャリスト 中光章氏が自社の主力製品を紹介した。
 
アイキューブドシステムズ CLOMO マーケティングスペシャリストの
中光章氏

 19年4月から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が施行されている。一部の中小企業には猶予期間が設けられているものの、特に残業時間の上限規制に関しては罰則が規定されており、対応は待ったなしの状況となっている。一方で、中光氏は「クラウドサービスとモバイル端末の普及により難しくなっている」と指摘する。管理外のデバイスが増えたことでいわゆる“隠れ残業”が増加しているという。
 そこで同社が提供するのは、モバイル端末の管理ソリューション「CLOMO MDM」。同ソリューションを端末にインストールすることで、利用時間の制限できるほか、管理者による利用状況の確認や、盗難・紛失時のリモートワイプなどが可能となる。現在、iOS・Windows・androidに対応しており、MDM市場では8年連続でトップシェアを獲得しているという。中光氏は「CLOMO MDMで提供できる価値は利用制限・状況確認・働き方の振り返りの主に三つ。特に振り返りは重要な点で、限られた時間の中でいかに業務効率を最大化できるかを検討していく文化を作ることができる」とし、働き方改革のハードルとなりがちな文化の醸成に有効だと語った。

 セッション3ではSynology Japan 営業部 セールススペシャリストの阿部光太郎氏が「ビジネス規模別 Synology NASの提案方法」テーマに講演。同社が提供する「Synology NAS」の特徴やメリットについて解説した。
 
Synology Japan 営業部 セールススペシャリストの阿部光太郎氏

 同社は2000年に設立した台湾のNASベンダー。きょう体のほかに、NASに搭載するOSやソフトウェアの開発も行っている。18年に日本法人を開設し、販売活動を強化している。同社が提供するNASの特徴について、阿部氏は「ライセンスフリーの高可用構成、GUIベースで操作性のいいファイル管理機能、多彩なニーズに応えるバックアップ機能の三点」を挙げる。
 NASを導入する際、BCPの観点からハードを複数導入し、冗長化するケースは多い。しかし「一般的なベンダーの場合、追加でライセンス料を支払わなくてはいけないケースが多く、コスト面でハードルが高かった」と阿部氏は指摘する。同社では最小のサイズからでも高可用構成を実現でき、業種業態規模に限らずBCP対策を講じることができるという。そのほか、Synology NASのOSにはファイル転送機能が標準機能として搭載されている。ファイル共有リンクを活用することでNASから直接ファイルの共有、保存が可能となる。
 また、バックアップ機能について阿部氏は「従来のベンダーの場合、ストレージのみの開発・販売で、バックアップツールは他社製品を使う必要があるケースが多かった」と語る。同社ではバックアップソフトについても自社開発しており、物理サーバー、仮想サーバー、SaaSサービスそれぞれに対応するサービスを用意している。スナップショットベースのバックアップにも対応しており、ユーザーのニーズに合わせて使い分けられる。阿部氏は「ハードとソフトが同じベンダーで開発しているためサポートを一本化できるというメリットもある」として自社製品のメリットを強調した。

 セッション4ではNTTPC コミュニケーションズ 営業本部 営業推進部 営業推進担当 担当課長の大野智史氏が登壇。「2019年、DXファースト期突入。 数年後のレガシーシステム刷新を控え、今取り組むべきIT整備とは?」として同社のSD-WAN製品「Master'sONE CloudWAN」について紹介。エンドユーザーへ提供する商材としてだけでなく、SIerやリセラー自身が導入することでシステム更改の起点に活用することを提案した。
 
NTTPC コミュニケーションズ 営業本部 営業推進部 営業推進担当 担当課長の
大野智史氏

 まず大野氏は「近年、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)が経営課題となる中、レガシーシステムの存在がDXを阻む足かせとなっている」と指摘。「一方でレガシーシステムを更改するにはIT人材のリソースが必要になる」と語る。しかし、労働人口が減少傾向にある中、IT人材はより難しくなるとみられる。そこで大野氏はSIerやリセラー自身がSD-WANを導入することで、特にインフラの構築・運用・保守業務でIT人材のリソースを確保できるとした。
 同社が提供しているSD-WANが「Master'sONE CloudWAN」である。一般的なSD-WANとは違って機能がシンプルなものに絞られていることから、コストが安く使いやすい製品に仕上がっている。また、フレッツ対応のゼロタッチプロビジョニングによって初期設定が短時間で済むことや申し込みから故障交換が日本語のコントロールパネルで完結できる。こういったメリット市場に受け入れられ、「中堅中小企業や地方ユーザーが増加している」と大野氏は語る。


セッション5ではアンラボ 営業部 アカウントマネージャーの宮本明氏が「中小企業市場における『V3 Security for Business』の展開とアンラボのパートナー戦略について」と題し、同社の主力製品とその販売方針をアピールした。
 
アンラボ 営業部 アカウントマネージャーの宮本明氏

 アンラボは韓国発のアンチウイルスサービスベンダーで韓国のサイバーセキュリティ市場では65%~70%のシェアを占めている。現在エンドポイント、ネットワーク、監視サービスでソリューションを展開しており、今後日本向けに注力していく商材はクラウド型エンドポイントソリューションの「V3 Security for Business」だ。
 同製品はAIと機械学習を活用したマルウェアスキャンを基本機能としてウェブサイトフィルターやランサムウェア対策などの機能を包括的に提供するもの。スマートフォン向けには位置情報確認とリモートロック・ワイプ機能を用意しているほか、サーバー・PC・スマホを含めた全ての端末を一元管理できるコンソールを提供する。
 クラウドでの提供になるためサーバーの選定や初期投資が不要で、導入時のコストと手間を削減できる。料金体系は1ライセンス年間4608円。宮本氏は「クラウド型サービスとしては最後発になるものの、他社製品のユーザーからはよりコストがかからないものがあれば検討したいという声が強かった。ここをしっかりと刈り取っていきたい」と意気込む。
 22年12月までに300社とパートナー契約を結ぶ考えで、「少しでも興味があればぜひ声をかけてほしい」と宮本氏は呼びかけた。

 最後のセッション6ではウェブルート エンタープライズ営業本部 本部長の渋井政則氏が登壇し、「Managed Service Provider ビジネスへの近道・売り上げポートフォリオ安定化に寄与するリカーリングビジネス」をテーマに、同社が提供するクラウド型エンドポイントセキュリティ「SecureAnywhere Business Endpoint Protection」とそのマネージドサービスプロバイダー(MSP)制度についてプレゼンした。
 
ウェブルート エンタープライズ営業本部 本部長の渋井政則氏

 ウェブルートはエンドポイントセキュリティに加え、脅威インテリジェンスデータのOEMを事業の柱とせてビジネスを展開している。特に脅威インテリジェンスデータは10ペタバイト以上のボリュームを持っており、その内容について自社のサービスやネットワーク機器ベンダーを中心とするパートナーのデータを基に日々更新している。
 一方、エンドポイントセキュリティソリューションについては、脅威インテリジェンスを基にした白黒判定やふるまい検知、万が一、端末が感染した際に感染前の状態に戻す「ジャーナリング&ロックバック機能」などを備える。また、一連の処理の多くはクラウド上で行われるため、エッジ端末のパフォーマンスを阻害しないという。
 ウェブルートでは同ソリューションのMSP制度を2種類用意している。サービスプロバイダーとなる「Managed Security Service Provider(MSSP)」とMSSPが提供するサービスの再販業者となる「MSSP resaller」だ。MSSPは同ソリューションを自社ブランドとして展開できるほか、独自の付加価値サービスを付与することも可能。渋井氏は「通常のライセンスの再販ビジネスと比べ解約率の低いストックビジネスになる」とメリット強調する。一方のMSSP resallerでは管理・運用の負担を減らしつつビジネスを展開できる。現在20社ほどがMSP制度に加入しているが、「1年程度のパートナー様でも1万台は積みあがっている。急に大きな案件にはならないが、付加価値として徐々にやっていくことでビジネスを下支えしてくれる」と渋井氏はアピールした。
 
会場には多くの参加者が集まり盛り上がりを見せた。
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