ニュース

グリッド、量子コンピューター上で動作する逆伝播勾配降下法の開発に成功

2019/11/29 08:00

 グリッド(曽我部完代表取締役)は11月29日、ディープラーニングなどで使われる逆伝播勾配降下法(Backpropagation)を、NISQ型量子コンピューター上で動作するアルゴリズムとして開発したと発表した。論文タイトルは「Quantum Circuit Parameters Learning with Gradient Descent Using Backpropagation」となっており、arxiv.orgに掲載されている。

回帰問題と分類問題の結果

 すでに発表している先行論文では、機械学習で使われている主成分分析やディープラーニングなどで使われるオートエンコーダなど、機械学習で使われるアルゴリズムを量子コンピューター上で動かすことに成功しているが、今回の発表では、機械学習で非常によく使われる、ニューラルネットワークのパラメーター更新の際に使われる逆伝播勾配降下法(Backpropagation)を、NISQ型量子コンピューター上で動作するアルゴリズムとして開発した。
 
パラメータ更新時間の比較

 量子コンピューターは、量子ビットがそもそも非線形な特性をもっているため、ディープラーニングなどが本質的に行っている特徴抽出器としての役割を、量子コンピューター上で実現できると考えており、量子ビット数が拡張するにしたがって、より高い性能でデータの特徴を抽出できる可能性がある。また、逆伝播勾配降下法を用いることにより、量子機械学習の学習段階でパラメーター更新に使われている旧来手法(差分法)に比べても大幅な学習時間の削減が可能となる。論文本文では、学習の際のパラメーター更新の時間比較を行い、回路の深さを変えての比較や、量子ビットの数を変えて比較した他の二つの手法と大きく差をつけて速いことを確認した。

 同社では、今後もさまざまな量子アルゴリズムを開発し、量子コンピューターの活用と社会実装に向け、研究開発に取り組んでいく方針。
  • 1

関連記事

量子コンピューターの活用方法をサービス化、ザイナスが59万円から提供

2020年10月、国内初の量子コンピューター専門展が開催

米IBM、ニューヨークに量子コンピュテーション・センターを開設

日本IBMと東京大学、量子コンピューティングの研究・教育の促進で提携

OKIが量子コンピューターを導入、製造現場の効率化を実現

外部リンク

グリッド=https://gridpredict.jp/

週刊BCN特別連載企画
「パートナーと伴奏し、新たな価値を共創するネットワールド」

連載第1回 トップに聞くビジネス戦略とパートナー支援

× こちらから>>

連載第2回 オンプレミスの知見を生かした「クラウド移行の最適解」

× こちらから>>

連載第3回 複雑なセキュリティに対し充実したサポートと検証環境を用意、今後はAI保護に注力

× こちらから>>

連載第4回 AIビジネスの立ち上げを支援 企業独自のデータを取り込み課題を解決

× こちらから>>