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セロニスが日本法人設立、日本の現場文化にマッチした業務改善ツール

2019/10/10 11:00

週刊BCN 2019年10月07日vol.1795掲載

 プロセスマイニングツール大手のセロニス(アレキサンダー・リンケ共同創業者兼共同CEO)は9月24日、日本法人の活動を本格化し国内市場でのサービス展開を拡大させる方針を明らかにした。

左から三菱総合研究所のコンサルティング部門 百瀬公朗・副部門長、
セロニス日本法人の小林裕亨・社長、セロニス アレキサンダー・リンク・共同創業者兼共同CEO、
SAPジャパンの福田譲・社長

 プロセスマイニングとは、企業に導入されているシステム内のトランザクションデータを分析し、業務プロセスを可視化・改善していく取り組み。リンケ共同創業者兼共同CEOは「ビジネスプロセスはエンドユーザーに与える全てのエクスペリエンスの根底にあり、これをモダンにしたいとき、われわれのツールが効いてくる」と説く。

 セロニスは2011年にミュンヘンで創業したプロセスマイニングツールベンダーで、昨年度のグローバル売り上げは1億ドル以上を記録。現時点でUber、BMWなど700社を超えるユーザーを持つ。

 同社が提供するのは「Intelligent Business Cloud(IBC)」というクラウドサービス。システムのイベントログを収集することでビジネスプロセスを可視化、手戻りなどの例外処理が発生する要因・傾向などを特定する。これを各担当者に通知し、よりスムーズなビジネスプロセスになるよう改善を求める。改善施策の実行後も監視を続け、効果測定を行っていく。トランザクションのID情報と内容、タイムスタンプが蓄積されるシステムであれば、どのようなシステムにも適用でき、クラウド、オンプレにかかわらず活用できる。

 同サービスは、特に業務変革において大きな障害となりがちな部門やシステムの分断を乗り越えられることが評価されているといい、近年、働き方改革などで企業の変革が迫られている日本市場で同社のノウハウが貢献できる領域は広いという。

 日本法人の小林裕亨社長は「プロセスマイニングではファクトに基づいた意思決定を提供することに意義があり、これにはボトムアップの意識改革が重要になる。現場を重視する日本の企業文化とマッチするだろう」と語る。

 グローバルでは直販による拡販を続けてきたが、日本市場ではパートナーを経由した販売を重視する方針で、すでにSAPジャパンや三菱総合研究所、アビームコンサルティングなど計10社とパートナーシップを結んでいる。中でもSAPジャパンとは戦略的な協業関係を確立し、SAPのERP製品にセロニスのツールをあらかじめ組み込んだパッケージを提供していく方針だ。

 SAPジャパンの福田譲社長は「生産性向上で、従来のビジネスプロセスをそのまま効率化したのではあまり意味がなく、根本から見直す必要がある。しかし、ERPを含めたこれまでのシステムは業務のパフォーマンスを向上させることが目的のため、データを持っていてもビジネスプロセス自体を可視化することは苦手だった」と指摘する。SAPとセロニスは補完関係にあるといえ、福田社長は「積極的に取り組んでいきたい」と意気込みを見せた。(銭 君毅)
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