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サイボウズ、「働き方の多様化でビジネスチャンスを」
2019/09/26 11:00
週刊BCN 2019年09月23日vol.1793 第2部掲載
上海市で「Cybozu Days Shanghai 2019」を開催
青野社長は、現在、働き方改革の先進企業として注目されているサイボウズが「昔はブラックな会社で、2005年には離職率が28%になっていた」とし、柔軟な働き方を認めるようにした理由について「経営効率のために、社員が辞めない会社をつくることを決意した」と述べた。そのうえで、週3日勤務や最大6年間の育休、子連れ出勤などの制度を取り入れたと紹介した。離職率は5%を切るところまで下がった一方、売り上げは順調に拡大しているとし、「働き方の多様化を進め、モチベーションを高く持って社員に働いてもらえば、ピンチの時にアイデアを出してくれる。そうすることで、次のビジネスチャンスをつかむことができる」と呼びかけた。
働き方改革を進めるうえでの注意点としては、制度改革だけに傾注してはいけないとの考えを示し、「制度とツール、社内の風土の三つを見直すことが大事」と強調。青野社長宛てのメールをほかの社員が閲覧、返信できるようにしていることなどを挙げながら「属人化している仕事があれば、チームで対応することで、いろいろな個性を組み合わせることができる」と訴えた。
イベントには、人口予測技術などを専門とする復旦大学の程遠教授が登場し、日本や中国の少子高齢化について講演した。「人類の歴史上、人口減少は何度かあったが、今の人口減少は今までにない特殊なものだ」としつつ、「人口が減ると、これまでにないニーズが出てくる。新しいニーズがあるからこそ技術は刺激され、さらに進歩する」と持論を展開した。
このほか、電通公共関係顧問(北京)の鄭燕総経理や中智上海経済技術合作の馮串紅部長も登壇し、組織内での人材の重要性や上海市の雇用情勢などを説明した。「日系企業が中国市場で成長し続けるために必要な組織づくりを考える」をテーマにしたパネルディスカッションや、kintoneユーザーの活用事例を紹介する中国企業向けのセッションもあった。
20年にも香港事務所を開設へ
サイボウズが、2020年に香港事務所を開設することを検討している。巨大な市場を抱える中国大陸に近く、英語が公用語となっている香港に進出することで、力を入れている中国と米国の事業展開を加速させる狙いがある。
香港事務所は、サイボウズが直接開設する方向で進めている。現地法人にするか支店にするかも含めて詳細はまだ決まっていないという。現地では製造業やサービス業を主なターゲットとし、スタートアップ企業へのサービスも提供する予定。
サイボウズ中国の増田導彦副総経理は、逃亡犯条例改正に絡む最近の香港の状況を考えると、「半年遅らせたり、少し様子を見たりする可能性は十分にある」と説明。開設の主体となるサイボウズの青野慶久社長は「香港の情勢は日々変わっているため、しっかりと動きを見極めていく」と述べた。
サイボウズにとって、導入企業数が1000社を突破した中国市場の重要性は増している。青野社長は「アリババやテンセント、ファーウェイの技術やR&Dの成果をみていると、すでに米国とそん色ないレベルだと思っている」とし、中国市場の位置付けについては「米国と並ぶ最重要市場だ」と強調した。
サイボウズは現在、日系企業からの引き合いが多い華南地区を中心に顧客の獲得を進めている。香港事務所を開設し、すでに開設済みの深セン事務所と連携して中国のローカル市場の開拓に弾みをつけ、同時に米国拠点との連携強化を図る方針だ。
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