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ファーウェイが狙うエコシステムの強化、パートナーとは協力と競争を共存
2019/09/24 11:00
分業とコラボでチャンスを提供
「今後5年間で15億米ドルを投資し、開発者のコミュニティを現在の130万人から500万人に拡大する」。初日の基調講演で、胡厚崑(ケン・フー)取締役副会長兼輪番会長はこう述べ、新たな開発者プログラムをスタートさせると呼びかけた。ファーウェイは2015年、初めての開発者プログラム「ディベロッパー・エコシステム戦略」を発表した。胡輪番会長は講演で「これまでの4年間で130万人の開発者と1万4000社のパートナー企業を発展させてきた」と成果をアピールした。
これまでの開発者プログラムを刷新した背景には、エコシステムがますます重要になっているとの認識がファーウェイにあるからだ。胡輪番会長は「今後10年で、コンピューティング産業は新たな黄金時代を迎える」との見解を示し、「アーキテクチャーのイノベーションとプロセッサーの開発をベースにして、パートナーとの分業やコラボレーションをすることで、より大きなチャンスを提供できると確信している」と強調した。
米国の出方次第で対応を転換か
新しい開発者プログラムは、人工知能(AI)チップ「Ascend(アセンド)」とARMベースのサーバー向けCPU「Kunpeng(クンポン)」の両シリーズが柱になっている。チップとCPUを軸にエコシステムの拡大を目指す戦略は、パートナー関係にある米インテルと競合するとの見方もある。インテリジェントコンピューティング事業部門の馬海旭(マイケル・マー)プレジデントは記者会見で、いくつかの領域でインテルと競合になることは認めたものの、「x86サーバー用のチップはインテルから提供されており、ファーウェイとインテルは協力と競争が共存している」と説明した。
そのうえで「米国の影響を受けなければ」と前置きし、「今後もインテル製品の使用を続ける」と述べた。一方で「この世界は開放的で、よりよい製品を提供できるかが市場を獲得できるカギになる」とも述べ、米国の出方次第で対応を転換させる可能性を示唆した。
人材の青田買いを進める
IT業界では、世界的にAI人材が不足しているといわれている。中国も例外ではなく、クラウド事業ユニットエンタープライズインテリジェンス製品部門の賈永利(ジャック・ジア)ゼネラルマネージャーは講演で「莫大なIT人材を抱える中国でも、AIの開発者は100万人以上が不足しているのではないか」と指摘した。ファーウェイは、目標とする500万人の開発者を集めるために、新しい開発者プログラムで、開発者を大学、個人、スタートアップ企業、パートナーの四つの所属に分類し、各分類向けのメニューを用意。また、理解、学習、構築、リリースの各段階に分けて開発者をサポートし、資金を援助することも紹介した。
幅広く開発者を支援をする中で、ファーウェイが特に重要視しているのは、人材を輩出する大学との協力強化で、優秀な人材の青田買いを狙っているとみられる。クラウド&AI製品・サービス部門の張順茂(パトリック・チャン)CTOは記者会見で「大学との協力は、新しい開発者プログラムの重点施策だ」と話し、さらに「今後5年間で、1000の大学と協力する」と力を込めた。
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