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和歌山県とNTT Com、秘密計算を用いた実証実験、自治体初の取り組み
2019/09/20 08:00
秘密計算とは、自治体や企業、研究機関など異なる事業者が保有するさまざまなデータを秘匿化したまま統合・分析を行い、結果のみを出力する技術。ビッグデータ活用の本格化を背景に、事業者のデータ相互利活用や自治体の公的統計情報の活用推進に対する期待が高まっている。
しかし、異なる事業者間のデータ利活用では、プロセスの途中で平文に復号する必要があり、セキュリティリスクの観点から、取り組みがなかなか進んでいないのが現状だ。加えて、高度なデータ分析を行う技術や能力を持った人材育成も大きな課題となっている。
和歌山県データ利活用推進センターの中内啓文センター長は「例えば、統計データは都道府県ごとに集計されていて、そこから政策に使用するため、特定の地域のデータだけを引き出すことができない」と現状のデータ活用の不便さを説明した。
今回、和歌山県はNTT Comのクラウドサービスやネットワークサービスに加え、NTTが開発を進めてきた秘密計算を活用しこれらの課題解決に取り組み、産学官の枠を越えたデータ利活用の推進を目指す。
具体的には、和歌山県のデータ利活用推進センター、実証実験に参加する事業者や大学に秘密計算専用端末を設置する。和歌山県や事業所のデータをNTT Comのクラウドサービスに集積し、秘匿性のある分析用データを提供する。また、大学ではAI・ビッグデータ解析などの人材育成のために活用する。
NTT Com ソリューションサービス部 番号制度推進タスクフォースの櫻井陽一担当課長は「企業にとっても研究機関にとっても、各種のデータを融合して分析したいと考えている。今回、データの秘匿性を持ったまま融合・分析できるようになればデータを持ち寄りやすくなる。今回の和歌山県との協業がその起爆剤になることに期待している」と話した。
統計解析ツールとして、オープンソースソフトウェアのRを使用する予定だが、今後は、参加企業や大学などのニーズ、使い方から用途に合わせた統計解析ツールを洗い出し、連携を進めていく。
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