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富士通研究所、購入に結び付くマーケティング施策をAIが立案
2019/09/17 16:00
富士通研究所は、2018年9月に、大量のデータを取得できない場合でもデータ項目のすべての組み合わせに対して、重要度の高い組み合わせを高精度に算出できるAI技術「Wide Learning」を開発した。今回、大量に算出された重要度の高い組み合わせをさらに絞り込み、効率的で効果が高いアクションプランを提案する新技術を追加した。
大量に算出された重要度の高い組み合わせを比較して、その組み合わせに該当する数が多く、影響が大きいデータ項目を抽出し、再度組み合わせていく。例えば、マーケティング分野では、算出された数百個から数万個におよぶ複数の購入率の高い組み合わせを比較し、購入率を下げることなく、該当人数が増加するデータ項目の組み合わせを見つける。これを繰り返すことで、最も該当人数と購入見込み率が高い数個に絞られた組み合わせを見つけ、セグメントとアクションを特定する。
富士通のマーケティングオートメーションツール内の属性21項目、行動履歴49項目、アクション14項目の匿名化データを使用し、購入確度の高い顧客を増やすアクションを抽出する実験を実施。マーケティングの専門家が人手でデータ分析を行った場合に、14個のセグメントで顧客の17%をカバー、購入見込み率が平均55%となる複数のアクションを抽出したのに対して、新技術では3個のセグメントで顧客の47%をカバー、購入見込み率が平均92%となる複数のアクションを抽出することができた。これにより、重要な顧客を判断するだけではなく、最適なマーケティング施策までも自動で決定できる。
富士通研究所は、19年度中に新技術を用いて富士通が主催するイベントの案内や製品・サービスの情報提供を自動決定し、顧客にとって最適な情報の発信を行う。また、20年度には、インターネットでの広告配信を行う「FUJITSU Intelligent Data Service AD Drive 運用型マーケティングサービス」での活用を目指す。
さらに、マーケティング分野だけでなく、ものづくり、金融、ヘルスケア分野などで、セグメントとアクションの関係を分析することで、効率的なアクション抽出による業務改善の実践を推進する。新技術を追加した「Wide Learning」を、富士通のさまざまな製品・サービスに組み込み、20年度にZinraiソリューションとしての提供を目指す。
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