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DXの基盤を提供するITベンダーにパートナー網拡大の動き、週刊BCNが名古屋市でSIer・リセラーのためのITトレンドセミナー
2019/09/17 12:36
基調講演には、「絶滅危惧種“SIer”の反撃~もう業者扱いはさせない!!DXを好機と捉え、不本意な現実をエコシステムで好転させる~」をテーマに福岡情報ビジネスセンター代表取締役の武藤元美氏が登壇。デジタルトランスフォーメーション(DX)が大きな潮流になる中、SIerのビジネス環境も転換期を迎えていることを踏まえ、持続的成長が可能なSIビジネスのあり方を提言した。武藤氏は「経済産業省のDXレポートでは、あらゆるユーザー企業がデジタル企業になるべきとしている。ユーザーにプロダクトオーナー意識を戻して、アジャイル開発やDevOpsなどを駆使してお客さんと一緒にシステムをつくっていくこと、さらには仲間のベンダーと協業し、互いの得意な領域を補完的に担当してスピーディーに案件を仕上げていくようなエコシステムの力を活用することが重要」と指摘。DXをテコに、SIerもユーザーも文化や振る舞いを変えるチャンスであると訴えた。
ソリューションベンダーセッションのセッション1ではシーディーネットワークス・ジャパン チャネルセールスチーム チームリーダーの堀井義貴氏が「CDNetworksの掲げる次世代統合型プラットフォームとは~マルチクラウド活用でパフォーマンス・セキュリティの課題を解決!」と題して講演した。ウェブ高速化のCDNをメイン事業としてきた同社は近年、ウェブセキュリティやネットワーク高速化までラインアップを拡大してきた。具体的には、CDNサービスのほか、そこから派生したDNS/ロードバランサー、セキュリティではDDos防御サービスやWAF、ネットワーク高速化ではクラウド型WANアクセラレータ、中国・香港と日本間の仮想専用線サービスなどを提供しており、今後はSD-WANやIaaS、コンテナオーケストレーションの領域にもサービスラインアップを拡大する予定だという。いずれもグローバルに展開しているクラウドインフラを存分に生かした競争力のあるサービスであることをアピールするとともに、「パートナー経由の販路拡大を目指している」として、パートナーサポートの充実に注力する方針を示した。
セッション2ではゾーホージャパン ManageEngine事業部ソリューションエバンジェリストの曽根禎行氏がプレゼン。「市場が求むIT運用・セキュリティの基本ソリューション “ManageEngine”」と題して、同社のIT運用管理製品である「ManageEngine」の概要と販売戦略・パートナー戦略などを事前撮影済みの動画で解説した。ManageEngineはサーバー・ネットワークなどITインフラの管理やID・ログ・セキュリティ管理、ヘルプデスクソリューションまで幅広い製品をラインアップする。曽根氏は「ITの運用管理とセキュリティ対策をシンブルにし、コストと運用工数の削減を実現する」とメリットを説明し、ManageEngineが「SIerのビジネス拡大にも大きく貢献できる」とした。さらに、「顧客満足度が高く、パートナー向けのセールスツールやセールスサポートも充実しており、手離れもいい」と話し、パートナーにとっては売りやすい商材であることを強調した。
セッション3では、「コスパ良し!分かりやすく使いやすい自動化セキュリティソリューションの決定版!~ソフォスとSB C&Sが提案する次世代セキュリティとは~」と題し、ソフォス マーケティング部部長の牧野恭子氏が講演した。セキュリティの脅威の現状、同社の取り組みと製品の優位性を紹介した。同社はアンチウイルス製品の提供からスタートしたが、M&Aによりラインアップを増やしてきた歴史があり、現在ではネットワークセキュリティも主力製品として提供し、UTMで業界をリードしているほか、未知の脅威にAIで対応する機能なども付加しているという。多くのセキュリティソリューションベンダーが“次世代セキュリティ”を謳う中、ソフォスは「ファイアウォールとエンドポイントのセキュリティ製品がリアルタイムに自動で連携する“Synchronized Security”を提供できることが大きな差別化ポイント」(牧野氏)だと説明した。
セッション3では、ソフォスの認定ディストリビューターであるSB C&SからICT事業本部販売推進本部技術統括部第2技術部2課の長谷川聡氏も登壇し、同社がソフォス製品の性能を検証した結果を解説。UTMとしてのパフォーマンスやAIの有効性、Synchronized Securityによる高度な脅威への対応などが優れていると結論付けた。
セッション4では、「その働き方改革、隠れ残業対策できていますか? CLOMO MDM で始める働き方改革とは」をテーマに、アイキューブドシステムズ CLOMOマーケティングスペシャリストの中光章氏がプレゼン。中光氏は、「クラウドやモバイルの普及によりいつでも・どこでも仕事ができる環境が整ったことで多様な働き方ができるようになってきている一方で、会社側が把握できない時間外労働として『隠れ残業』も増えている」と指摘。働き方改革関連法などにより、継続的な長時間労働が許容されない社会になりつつあることを踏まえ、「社員が意図せず働きすぎてしまって、それを企業側が把握できないという課題を解消し、働き方を整える必要がある」と訴えた。そのためのソリューションとして、同社のMDM製品「CLOMO MDM」が有効であるとアピール。「スマートデバイスだけでなくWindows PCにも対応し、業務用デバイスの利用時間の制限や時間外労働の可視化、働き方の振り返りなどを包括的に支援し、働き方改革や健康経営に役立つ戦略的なソリューションとして顧客に訴求できる」とした。
セッション5では、Synology Japan 営業部セールススペシャリストの阿部光太郎氏が「Synology NASでTCO削減&業務改善―時代の要求に応える新しいNASの活用法―」をテーマに講演した。同社のNASは、ファイルサーバーとバックアップソフトがセットになっており、バックアップソフトのライセンスは必要なく、NASを購入すれば無償の付属機能として使うことができることが大きな特徴で、仮想環境やクラウドアプリケーションにも対応しているという。さらに、「これは驚かれることが多いが、既存のActive Direcotry(AD)サーバーと同期させることができるだけでなく、Synology NAS自体がADサーバーになるという機能もある。ほぼ全てのモデルに標準搭載されていて、CALも不要で完全に追加費用なしで使うことができるというメリットがユーザーの大きな評価を得ている」と説明した。台湾に本社を置く同社は昨年日本支社を立ち上げ、マニュアルの日本語化などを進めているほか、ハードとソフト両面のサポートも強化し、販売パートナー支援に力を入れていることも強調した。
セッション6では、デジタルアーツ マーケティング部i-FILTER課プロダクトマネージャーの遠藤宗正氏が「現在のセキュリティ対策 ~それってやり過ぎでは?~デジタルアーツによるWeb、メール、ファイルのセキュリティをご紹介」と題して講演した。遠藤氏はDXに向けた変革の動きの一つとして、テレワークが進みつつあることを踏まえ、「それでも日本のテレワーク企業導入率は欧米に比べて低い。社内だけでも多層防御で疲弊しているのに、外部からのアクセスもセキュアに管理しなければならない大変さが阻害要因になっている」と指摘。ウェブサイトへのアクセスやメール受信をホワイトリスト方式で運用する同社製品である標的型メール対策「m-FILTER」、標的型攻撃対策「i-FILTER」、さらにはファイル暗号化ソウト「FinalCode」で、必要十分なセキュリティ環境をシンプルに構築できることをアピールした。なお、m-FILTER、i-FILTERのDBはデジタルアーツ自身が提供し、ユーザーが個別にメンテナンスする必要はないという。
主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、法人向けITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報を基に解説した。
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外部リンク
シーディーネットワークス・ジャパン=https://www.cdnetworks.co.jp/
ゾーホージャパン=https://www.zoho.co.jp/
ソフォス=https://www.sophos.com/ja-jp.aspx