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中国ITベンダー、自前のチップ開発を加速、米国勢を追う動きに注目
2019/08/28 17:00
中国深セン市で8月23日に開催した発表会で、ファーウェイの徐直軍(エリック・シュー)取締役会副会長兼輪番会長は、1年間の研究開発期間を経て実用化したAscend910を披露し、「ファーウェイのAI(人工知能)戦略が新たな段階に入った」と宣言した。
ファーウェイは2018年の年次イベント「HUAWEI CONNECT」で、Ascend910の設計仕様を発表した。今回のイベントでは、設計仕様を満たした上で、より優れた低電力性を実現したとして、徐輪番会長は「Ascend 910のパフォーマンスは予想を遥かに上回り、間違いなく世界最強のコンピューティング性能を備えるAIプロセッサーだ」と胸を張った。
中国メディアの時代週報は8月27日、「ファーウェイがチップを攻める」と題した記事を掲載し、ファーウェイの発表会の模様を報じた。アリババ傘下の半導体メーカー「平頭哥」が19年7月、Ascend910に似た高性能チップ「XuanTie(玄鉄)910)」を発表したほか、18年7月には、百度がAIチップ「Kunlun(昆崙)」を発表したと報道。中国国内では、ほかにもチップメーカーがあることを示し、中国のチップ開発の盛り上がりを伝えた。
一方、記事では、米調査会社Compass Intelligenceのデータを引用し、AIチップ世界トップ15では、中国勢はファーウェイが12位に入っただけで、依然として米国勢の後塵を拝していると指摘。市場では「米国のチップ大手が揺らぐことのない障壁と市場のシェアを構築している」と分析し、さらに「米国の大手企業は、間もなくAscend910を超える製品を発表するかもしれない」と警戒感を示した。
中興通訊(ZTE)が米国の制裁でチップを調達できず、経営危機に陥ったこともあり、中国勢はチップの領域で脱米国を進めている。しかし、速いスピードで発展することが持ち味の中国勢でも、米国勢が長年にわたって築き上げてきた牙城を崩すことは簡単ではないようだ。
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