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「日本が学ぶべき点は多い」、中国でのITの社会実装などを紹介、ジェトロが上海で講演会
2019/03/22 15:25
東京大学社会科学研究所の伊藤亜聖・准教授は「デジタルチャイナ『第四次産業革命』の中国的展開」と題して講演した。中国のITの社会実装を支える仕組みとして、(1)アリババや百度、テンセントといった大手IT企業がモバイル決済などのインフラをつくる、(2)投資やアクセレーターの存在などでベンチャーエコシステムが形成される環境がある、(3)政府が地方で自由に実験をさせて最新技術を社会に入れる――の3点を挙げ、「ITの社会実装の面で日本が学ぶべき点は多い」と述べた。
さらに、東南アジアやアフリカ、中東での中国IT企業の投資状況や事例を示し、中国型のITが途上国に拡大していることを例示し、「新興国でのデジタル化を体現した中国のソリューションは、ほかの途上国に展開しやすい」と解説。中国政府が進める経済圏構想「一帯一路」を引き合いに出し、デジタルの領域でも同じような動きがあると説いた。
また、各種統計データをもとに「中国のインターネットユーザー数は一時急速に増えたが、ここ最近はあまり伸びていない」とし、「中国のインターネット関連企業は、既存ユーザーをいかに深堀りするかというところに焦点を当てている」と指摘した。
一方、経済については、ジェトロ・アジア経済研究所の田中修・上席主任調査研究員が登壇し、建国70周年を迎える2019年の中国政府の方針について「経済成長を維持することが重要なテーマになっている」と説明。大規模な減税を実施することで、中国政府が企業の投資と個人の消費を促そうとしていることなどを挙げたほか、経済を安定させるためには雇用の安定が重要になるとの考えも示した。
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