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浅野氏入城400年で盛り上がる広島で、週刊BCNがセミナーで地元SIerを支援
2019/02/19 16:35
基調講演は、IT記者会代表理事の佃均氏。「デジタルファースト クラウドファースト ほうじゃ検証してみよか 経産省の本気度は100%」と題し、ITのトレンドと市場環境が大きく変わってきている中で、SIerはどうあるべきかついて語った。
佃氏は受託型IT産業の課題について、「営業利益率が微増か横ばいの状況にあるが、給料は2008年を境に下降傾向にある」と指摘。受託型IT産業の就業者数が増えていることが、その要因の一つだという。IT業界は人材不足と言われているものの、給与の上昇にはつながっていない。ただし、平均給与が高い企業の給与は上昇傾向にあるため、「二極化が進んでいる」と佃氏は分析している。
受託型IT産業の発展には、給与水準を上げることが必要となる。現状のままでは「若い人が来なくなる」と佃氏。この課題解消に向けた施策として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を取り上げた。「今年は消費増税や改元が予定されている。これらをきっかけにDXを提案し、新たな分野で実績を残すことにより、一人当たりの売り上げを増やすことに取り組んでほしい」と呼びかけ、講演を終了した。
セッション1では、『AIで新たなセキュリティ脅威に先手を打つ! ~SB C&S株式会社とソフォスが提案する次世代セキュリティとは~』と題し、ソフォスの牧野恭子氏が登壇。セキュリティーの脅威の現状、同社の取り組みと製品の優位性を紹介した。同社はエンド・ポイント・セキュリティー製品で実績があるほか、UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)においても業界をリードしていることから、「両方を提供しているのはソフォスだけ」と牧野氏。まだ、未知の脅威にAIで対応するといった最新の取り組みをアピールした。また、同社が“次世代”とする「Synchronized Security」の取り組みにおいては、セキュリティー対策の自動化を実現しており、「人の介在を必要とせず、マルウェアの予防や駆除を実現する」と紹介した。
同じくセッション1において、認定ディストリビューターであるSB C&Sの高橋秀徳氏が登壇。広島にはソフォスの営業所がないことから、「問い合わせについては当社に」とし、SB C&Sが考えるソフォス製品の優位性と、販売パートナーへの具体的な支援内容を紹介した。
セッション2は、「フローからストックへ。KDDIのベアメタルサーバーサービスが可能にする、月額収益型ビジネスへの変革」と題し、KDDIの來嶋宏幸氏が登壇。日本企業にはクラウドファーストの考え方が浸透しているものの、「国内の情報システムは、まだ多くがオンプレ環境で動いている」と指摘し、クラウド化には多くの可能性があることを紹介した。
さまざまなクラウドサービスがある中で、KDDIが注力するのは、「ベアメタルサーバー」である。「クラウドの柔軟性とオンプレミスのように専有できるという、いいとこ取り。クリックしたら数時間で使い始めることができる」と來嶋氏。また、「Oracle DBなど、クラウド環境に移行するとライセンス料金が高くなるケースでも、ベアメタルであれば現状維持となる」などのメリットを紹介し、具体的な活用例を紹介した。KDDIでは、同社のクラウドサービスの販売を担うパートナーのほか、KDDIの既存顧客のシステム開発を担うパートナーも募集している。最後に來嶋氏は、「なかなかクラウド化に踏み込めないユーザー企業の課題を一緒に解決していきたい」と会場に呼びかけた。
セッション3では、「『ロボット任せ』はここまでできる 明日の仕事を変えるERP×RPA」と題し、ビーブレイクシステムズの堀井勇也氏が登壇。まずは同社の主力ERP製品「MA-EYES」を紹介。「比較的安いが柔軟性の低いパッケージ製品と、柔軟性が高いが構築に費用が掛かるスクラッチシステムの両方のいいところ取りをしたシステム」とし、豊富な標準機能と容易なカスタマイズをアピールした。
そのERP製品において、同社が注力しているのが、RPAツール「WinActor」との連携である。WinActorはPC1台から導入可能で、かつプログラミング経験のない現場担当者でも取り扱える手軽さでシェアを伸ばしている。そのため、柔軟にカスタマイズできるMA-EYESだが、オペレーションに関しては、WinActorに任せることで、カスタマイズを最小限に抑えることができ、導入費用の削減に貢献する。セッションでは、その有効性をデモンストレーションで紹介した。最後に堀井氏は、簡易PoCのオプションプランや、ビーブレイクシステムズからWinActorを購入するメリットなどを紹介し、パートナープログラムへの参加を呼び掛けた。
セッション4では、「特許取得済みのAIを用いたサイバーセキュリティソリューションを提供するウェブルートと共に安全を守りましょう!」と題し、ウェブルートの渋井政則氏が登壇。同社のフルクラウド型セキュリティーサービスは、3500万以上のエンドポイント契約数という実績がある。渋井氏は、この実績をアピールするとともに、その理由となる優位性について説明した。
ウェブルートが提供するエンドポイントプロテクションの特徴は、ウイルス定義などの情報はクラウド上にあるフルクラウド型という点にある。クライアント側にエージェントをインストールするだけでよく、定義ファイルなどの更新を意識する必要はない。また、脅威に対しては、静的判定と動的判定の両方を用いている。静的判定では、脅威DBなどと比較して判定。セキュリティー上の問題があるかどうかの判定がグレーな場合は、ふるまいを検知するという動的判定を実行する。これらにより、未知の実行可能形式ファイルに対し、92.3%を1時間で判定。12時間後には、99.8%まで検知することができる。感染してしまった場合でも、ロールバック機能により、感染前に復元することも可能だ。渋井氏は製品の優位性を説明した後にパートナープログラムを紹介し、「SMBのマーケットに注力しており、中国地方では2社のパートナーを募集している。ぜひ検討してほしい」と参加者に呼びかけた。
セッション5では、「世界300万ユーザーが活用するQNAP NAS、国内企業の導入実績が増えている理由」と題し、フォースメディアの菅原徹明氏が登壇。グローバルで300万以上のユーザー企業が利用しているNAS(Network Attached Storage)を紹介。国内においても、大学や自動車メーカー、テレビ局をはじめ、動画やデザイン系、病院などで利用されており、売り上げを堅調に伸ばしているという。
QNAP NASで特筆すべきは、カスタマイズが可能な多機能NASということ。単なるストレージとしての役割だけでなく、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)のような活用ができる。例えば、仮想環境やコンテナ環境をNAS上に構築できる。GPUもサポートしており、AIのフレームワークやライブラリーをNAS上に展開することも可能だ。また、上位モデルへの移行がHDDを差し替えるだけで対応できたり、システムが稼働状態で拡張できたりするなど、運用面にも強みを持つ。菅原氏は運用管理機能なども紹介し、最後に「貸出機を用意している。ローエンドからハイエンドまで同じOSを採用しているため、機能の確認であれば小さめのデスクトップモデルでも検証できる。ぜひ、問い合わせしてほしい」とアピールし、セッションを終えた。
最後に主催者講演として、週刊BCN編集委員の畔上文昭が「2018年のIT動向とポスト2020 ~量子コンピュータ時代がすぐそこに!?~」と題し、量子コンピューターを活用したビジネスが動き始めていることを紹介した。
セミナーでは、休憩時間とセッション終了後に名刺交換会を実施。講演者と参加者、また参加者同士の情報交換で盛り上がった。なお、週刊BCNは今後も同セミナーを全国主要都市で開催していく予定である。
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外部リンク
ソフォス=https://www.sophos.com/ja-jp.aspx
SB C&S=https://cas.softbank.jp/