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東京五輪で課題山積の都内通勤ラッシュ、テレワーク導入はわずか6.8%
2019/01/10 11:20
「住みたい沿線」として人気の高い東急田園都市線だが、一方で朝の通勤・通学の混雑状況は私鉄の中でもひどいことで有名だ。駅のホームにも、通勤や通学のピーク時間をずらす分散乗車を促すポスターが張り出されている。同じポスターは、東横線や目黒線の主要駅でも見られる。現状でも混雑がピーク時の解消に悩まされているのに、東京五輪の観戦客が国内外から押し寄せる20年はどうなってしまうのか。
18年12月18日に、年間のインバウンド(訪日外国人客数)が3000万人を突破した。政府は、20年に4000万人突破を目標に掲げる。最近のインバウンドの旅行先の傾向が、地方などに分散しつつあるとはいえ、20年は東京に集中する可能性が高い。都内の交通機関の混雑問題は、今後も悪化することは明らかだ。
こうした中、東京都の小池百合子都知事は1月8日の会見で、2019年度の予算編成で企業にテレワーク導入を促進する事業に26億8000万円の予算査定をして、機器購入費用などを上限110万円を助成するなどの方針が報じられた。詳細は予算原案として25日に発表される予定だ。
都によると、17年度に従業員30人以上の都内企業で、テレワークを導入しているのはわずか6.8%に過ぎなかった。導入の予定や検討をしている企業は13.0%、導入の予定なしは80.2%と、テレワークへの関心は低い。都は、20年度にテレワーク導入率35%を目標に掲げるが、目標達成までの道のりは険しい。
全国的にみても、テレワークの導入は進んでいない。総務省の情報通信白書(18年版)によると、企業のテレワーク導入率は17年に13.9%。12年から緩やかに上昇しているとはいえ、12年の11.5%から2.4ポイントしかアップしていない。むしろ、15年の16.2%からは後退している。
個々人による時差出勤などの努力も大切だが、本社機能が集中する都内の企業トップ自らが、社内でのテレワーク導入の方針決定や大胆な働き方改革を決断することが今こそ求められている。
東京五輪で日本ならではの「おもてなし」が演出できたとしても、移動するたびに混雑に出くわすストレスが解消されなれけば、かえって「国際都市・TOKYO」の悪いイメージが拡散されてしまうのではないか。(BCN・細田 立圭志)
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