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DX、セキュリティー、働き方改革を加速するITソリューションを紹介した週刊BCNセミナー、福岡市で開催
2018/12/12 17:55
セミナーのオープニングとなる基調講演では、IT記者会の佃均代表理事が「デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて来年は何をやるべきか」と題し、近年のITビジネスにおいてトレンドワードになっているDXと、来年以降の動きに備えてITベンダーが何に取り組むべきかを説明した。
佃代表理事は、DXの本質を「デジタル技術を使って、今まであった手続きをなくすこと」と定義。従来、ITは「そろばん」をコンピューターに置き換えて事務手続きを高速化してきたが、DXの時代には手続きそのものがITで省略されるため、仕事のやり方に破壊的な変化が起きる。一方、日本企業のDXのサポート役となる国内ITベンダーでは、レガシーシステムを扱える人材が少なくなっているほか、ウェブサービス事業者や海外の大手プラットフォーマーとの間で優秀なエンジニアの奪い合いが発生している。このため、DXを推進するには、「より効率的なシステム開発の手法を確立してエンジニア一人当たりの生産性を上げることが急務となる」とした。また、来年にも国会提出されると見込まれる、政府の「デジタルファースト法案」も、ITビジネスに大きな影響を与えることが確実であり、法案の予想される内容についても解説した。
特別講演では、福岡県情報サービス産業協会が主体となって設立された組織「ふくおかクラウドアライアンス(ふくクラ)」の活動を、同会でビジネス開発委員会の副委員長を務める柴田健二氏が紹介した。ふくクラは2012年に設立され、今年で7年目を迎える。自治体の事業として運営される地域の産業振興団体とは異なり、同会は公的な助成を受けずボランティアで、ITベンダーと、ITのユーザーとなる福岡の企業とを結び付ける活動を行っている。6年あまり活動を続けてきたことで、地元の商工関連団体からもITのビジネス活用に関して頼られる存在になりつつあり、ふくクラを通じて新規顧客を獲得できたITベンダーも生まれているという。柴田副委員長は、「IT活用を検討中の地元企業にアプローチするための場として、ふくクラの場を有効活用してほしい」とセミナー参加者に呼びかけた。
最新のIT商材を紹介するセッションでは、日本プルーフポイントおよびテクマトリックス、ビーブレイクシステムズ、ブレインズスクエア、Synology Japanの5社4講演が行われた。
日本プルーフポイントの小澤裕介・西日本営業部長は、同社のメールセキュリティーソリューション「Proofpoint」を紹介。企業のメールアカウントにはスパムメールやマルウェア付きのメールが押し寄せているが、それに加えて、取引先やサービス事業者になりすました犯罪者からの「ビジネスメール詐欺」が近年は増えており、実際に金銭をだまし取られる被害も発生している。Proofpointは、サイバー攻撃に加えてビジネスメール詐欺対策機能も強化しており、「メールに関するリスクをトータルで軽減できるソリューション」になっているという。
続けて、Proofpointを取り扱うテクマトリックス西日本支店の山内崇嗣・ネットワークセキュリティ技術2課課長代理が、同製品の導入事例を紹介。他のセキュリティー製品を導入していた顧客の間では、誤検知に悩まされる、検知後の対応が追いつかないといったケースがあったが、Proofpointの機能を活用することで、より高精度な検知や、検知に加えて危険なメールのリアルタイムでのブロックも可能となるため、運用面でも大きなメリットがあることをアピールした。
ビーブレイクシステムズ営業部の山口未咲子氏は、同社のクラウドERP「MA-EYES」を紹介。MA-EYESはプロジェクト単位で業務を進める企業に適した国産ERPで、プロジェクトごとの正確な収益管理、多重入力や手作業での確認業務の軽減、内部統制の強化などを目的として、ITサービス、人材、広告などの業種から多くのユーザーを獲得している。加えて、同社ではNTTグループが開発したRPA(業務自動化)ソリューション「WinActor」の販売および導入支援を行っており、最近ではMA-EYESとWinActorのセット提案にも注力している。デモを行った営業部の飯田玲奈氏は「ERPの導入に当たって多くのカスタマイズが必要な企業では初期費用が高額になるが、RPAで運用することでコストを低減できる。数百万円規模のERP改修をRPAで代替できたケースもある」と述べ、RPAは業務効率化とITコスト削減の両面で有効な技術であることを強調した。
ブレインズスクエア日本支社長の藤田孝広氏は、PC上へのデータの保存を抑制し、内部データの漏えいを防止するソリューション「SECUDRIVE File Centralization」を紹介。企業の従業員が各自のPCにデータを残す形で業務を行うと、機密情報の不正持ち出しの温床となるほか、従業員間での業務の引き継ぎにも支障を来す。SECUDRIVE File Centralizationでは、クライアントPC上の業務データをファイルサーバー上のセキュリティーエリアに強制移行し、データのローカル保存や印刷、画面キャプチャなどを禁止することが可能。藤田支社長は「金融業などでは漏えい防止のためVDI(仮想デスクトップ基盤)が導入されているが、高コストであることに加えオフラインで業務ができないといった問題がある。当社製品の価格は中堅・中小企業でも導入可能な範囲であり、テレワークなどにも活用できる」と話し、VDIと比較してコストパフォーマンスの高い情報漏えい対策であると説明した。
Synology Japan営業部の田野久敏セールスマネージャーは、同社が「次世代ファイルサーバー」と呼ぶNAS製品の紹介を行った。SynologyのNASは個人のPC上級者やSOHOユーザーから普及が広がっていったが、今年から日本市場でもパートナー経由で販売する法人向け製品を強化。ミドルクラス以上の製品では、アプリケーションソフトも十分実行できるだけのCPUやメモリーを搭載しており、NAS自身にデータバックアップ機能を追加したり、NASをドメインコントローラーをとしても動作させたりできる。「数百~数千万円クラスのエンタープライズNASで提供されている機能を、当社が提供する無償アプリケーションによって実現できる」(田野セールスマネージャー)といい、現在日本では複数の教育機関で導入が進んでおり、今後はデータ活用に関心を持つ企業向けに、低コストでデータの管理・保護が可能なソリューションとして提案を図っていくとした。
主催者講演では、週刊BCN記者の日高彰が、今年のIT業界をキーワードで振り返りながら、来年以降一層の活況が期待できる働き方改革やIoT関連ソリューションについて展望を語った。
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外部リンク
日本プルーフポイント=https://www.proofpoint.com/jp
テクマトリックス=https://www.techmatrix.co.jp/
ビーブレイクシステムズ=https://www.bbreak.co.jp/