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インターネット分離製品が10万ユーザー突破 金融、医療機関でも採用増加――ジェイズ・コミュニケーション
2018/11/23 13:00
週刊BCN 2018年11月19日vol.1752掲載
SCVXは、Dockerのコンテナ技術を使い、仮想領域でウェブブラウザーのFirefoxを動かしてインターネットを利用し、ローカルのクライアントにブラウザーの描画情報を転送する。吉田崇・技術本部プロダクト開発部長は、「一般的なハイパーバイザー型に比べてコンテナによる仮想化は消費リソースが少なく、軽くて速い。コンテナは一つのブラウザーごとに作成し、ブラウザーを閉じるとコンテナごとに削除する仕組みになっている」と説明する。ローカル端末は直接インターネットに接続せず、SCVXのサーバーとつなぐだけなので、安全性も高い。また、オープンソースソフトウェアをフル活用して独自に開発した製品であり、例えばマイクロソフトのリモートデスクトップサービス「RDS」のような競合製品と比べると、CALベースの課金ではないためコスト面でも大きなアドバンテージがあるという。
同社がSCVXの販売を開始したのは2016年2月。その2年ほど前から開発を進めてきた。中村時彦・取締役執行役員技術本部長は、「既存製品だけでは時代に取り残されるという危機感があり、若いエンジニアを中心に新しい技術の習得を進めようとしていた頃に、Dockerに出会ったのがSCVX開発の契機になった」と振り返る。さらに、「15年には総務省が地方自治体に、LGWAN接続系ネットワークとインターネット接続系ネットワークを17年7月までに分離するよう求めるガイドラインを出し、事業環境としても追い風が吹き始めた」(中村取締役)。
実際、SCVXは今年8月末現在、32都道府県85市町村で導入実績があり、地方自治体を中心に普及が進んだ。ほとんどの導入を手掛けたのは、地場のSIerを中心としたパートナーで、中村取締役は「パートナーと一緒に成長した商材だ」と強調する。
直近では、持ち込みファイル脅威対策オプションやファイル無害化オプションなどもラインアップして製品の強化に注力しており、顧客層も広がっているという。吉田部長は、「自治体だけでなく、金融領域での採用も非常に増えている。地銀や証券会社、生保系からの引き合いが多い。また、病院などの医療機関もセキュリティーへの投資は活発化しており、使いやすさとコストを評価してSCVXを採用する事例が出てきている」とコメント。パートナーと連携し、顧客基盤拡大に取り組む意向を示した。(本多和幸)
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