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新潟のIT産業は今が飛躍のトキ、週刊BCNがSIer・リセラーのためのITトレンドセミナーを開催
2018/11/02 17:40
基調講演には、IT産業ジャーナリストで、一般社団法ITビジネス研究会の代表理事を務める田中克己氏が登壇。「変わるIT産業、変わらないIT企業~あなたの会社は『生き残る』ことができますか?~」をテーマに、エンタープライズIT市場を取り巻く環境の変化を解説するとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズに応えた新興ベンダーの取り組みなどを紹介した。田中氏は、AI、IoT、ロボティクスの浸透でIT産業が大きく変わる中で、「日本のエンタープライズIT市場は大手メーカー、SIerとも産業構造がなかなか変わらない」と指摘。その上で、「組織が小さく経営者のトップダウンで変革がしやすい中堅中小企業が、DXのリーダー企業に成長する可能性もある。ベンチャーや中小ベンダーが頑張らないと日本のIT産業は良くならない」と訴え、セミナーに参加した地元・新潟県のIT産業関係者に奮起を促した。
各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。
セッション1では、バリオセキュア 営業本部の篠原永年氏が「中小規模企業様向けに特化したUTMセキュリティ対策とパートナープログラムご紹介」と題して講演した。同社は、2001年の創業以来、自社開発のUTM製品販売とUTM運用管理サービスの両方を手掛けているセキュリティーソリューションベンダー。篠原氏はまず市場のポテンシャルについて、調査会社のレポートなどを提示しながら「UTMのニーズは飽和状態と思われがちだが、特に中堅中小企業向け市場における成長の可能性は大きい。そして、販売だけでなくサービスの伸びも非常に大きい」と説明。同社のUTM製品ラインアップは中小企業向けに特化した製品がメインであり、防御・検知・分析の仕組みや、アクセスログ、通信ログなどからサイバー攻撃を監視・検知する仕組みなど多層防御に必要な機能をオールインワンで実装しているという。篠原氏は、「UTM販売だけでなく、当社の運用サービスのインフラを活用していただき、市場拡大のポテンシャルが大きい運用管理サービスまで網羅したビジネスをパートナーの皆様にも展開していただくことが可能」として、SIerなどのパートナーと柔軟なアライアンスを組むことができる点も強みであると強調した。
セッション2では、ウェブルート エンタープライズ営業本部チャネルアカウントマネージャーの井上洋輔氏が登壇。「特許取得済みのAIを用いたサイバーセキュリティソリューションを提供するウェブルートと共に安全を守りましょう!」をテーマにプレゼンした。井上氏は同社ソリューションの最大の差別化ポイントとして、「世界最大級の脅威インテリジェンプラットフォームを持っている」ことを挙げた。このプラットフォームは、「パートナーベンダーも含め、非常に広範なソースから脅威情報を吸い上げてクラウド上の巨大なデータベースにためて、そのビッグデータをAIを活用して分析し、エンドポイントセキュリティーにリアルタイムに生かす」(井上氏)というもの。同社はこれをベースに、エンドポイント、モバイル向けのフルクラウド型セキュリティーソリューション、脅威インテリジェンスサービスを提供している。また、「単一ソリューションで多層防御が実現できるほか、パフォーマンス面でも競合製品と比べ優れていて、PCも重くならず業務の妨げにならない」として、同社製品・サービスがチャネルパートナーにとっては顧客へのドアノックツールとしての魅力があることをアピールした。
セッション3では、エーティーワークス 事業統括本部プロダクト営業部営業推進課の小野寺雅人氏が「国産ハードウェアメーカーが提供するアプライアンス事業戦略」と題して講演した。同社は富山県に本拠を置く国産ハードウェアメーカーで、1/4Uサイズの省スペース省電力サーバー「Rad Beagle」シリーズなどのサーバーや、各種アプライアンス製品の製造・販売を手掛ける。小野寺氏は、近年、SIerや事務機ディーラー、ISVなどが、自社が取り扱うソフトウェアとエーティーワークス製ハードウェアを組み合わせて、オリジナルのアプライアンス製品を作る動きが拡大していることを説明。「ハードウェアだけであれば価格や性能で差別化するのは難しくなってきているが、オリジナル製品であれば営業や技術力に依存することなく他社製品との差別化ができ、安易な価格競争にも巻き込まれない」とした。さらに、「オンプレミスのビジネスだけでなく、さまざまなクラウドサービスと連携したアプライアンス製品に仕上げることも可能」として、そうしたビジネスに踏み出したいITベンダーをエーティーワークスがOEM、ODMで支援していることを強調した。
セッション4では、「コスト削減のカギは、オフィスソフト選定にあり! ~定番からの脱却で見える化する『課題』と『解決策』~」と題して、キングソフト WPS事業部執行役員の齋藤理氏がプレゼンした。「Microsoft office」の互換ソフト「KINGSOFT Office」を開発・販売してきた同社は、2016年にKINGSOFT Officeを「WPS Office」にリブランドしている。WPS Officeの特徴について齋藤氏は、「操作性、UI、保存形式などあらゆる面でMicrosoft officeと非常に高い互換性がある。マルチデバイス対応も進めており、さまざまなOSに対応したネイティブアプリを持っている。VBA対応もMicrosoft Officeと同一のAPIを採用している」と説明。また、近くmacOS版のWPS Officeをリリースする予定であることを明らかにした。コスト面のメリットとしては、Microsoft Officeの既存ユーザーがWPS Officeに乗り換える場合、コストは3年で3分の1以下に抑えられるという。齋藤氏は、「人材への投資やセキュリティー、業務改革、デジタル化などのIT投資もますます重要になるが、そのための原資を生み出す第一歩としてオフィスソフトのコスト削減に取り組むことは有効」との考えを示した。
主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、エンタープライズITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報を基に解説した。
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外部リンク
バリオセキュア=https://www.variosecure.net/
ウェブルート=https://www.webroot.com/jp/ja