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次の課題は価値あるものをどう届けるか 新たなパートナーが加わる――ニュータニックス・ジャパン
2018/10/18 09:00
週刊BCN 2018年10月15日vol.1747掲載
HCI専業ベンダーからの脱皮
Nutanix .NEXTの今年のテーマは「新たなマルチクラウドを創造するディスラプター」だ。ディスラプターとは兵器、破壊の意味を持つが、ニュータニックス・ジャパンの町田栄作・コーポレートマネージングディレクター兼社長は「これまでの当たり前、常識を変えるという思いを込めている」と説明する。同社がまず覆したいと考えているのが「HCI専業ベンダー」のイメージだ。HCI市場を切り開いてきた同社だが、町田社長は「HCIというテクノロジーはビルの土台のようなもの。これからはその土台の上でビルの設計、製造に入っていく」と説明する。今後、つくり上げていくビルは、インフラやデータセンター、クラウドの存在を意識することなく、アプリケーションやサービスの対応に集中できるIT環境を指す。
次のイノベーションはデリバリーで
同社は2011年にHCI分野の草分けとしてアプライアンスを商品化し、現在はソフトウェア会社としてHCIの基盤ソフト「Enterprise Cloud OS」を中心としたビジネスを展開している。Enterprise Cloud OSは複数のハイパーバイザーとパブリッククラウドをサポートし、単一のOSと管理画面でマルチクラウドを管理できる。つまり、インフラ、データセンター、クラウドを意識しないIT環境を実現したということだ。米ニュータニックスの創業者であるディラージ・パンディ会長兼CEOは、「ソフトウェアでイノベーションを起こした。次はデリバリー(提供)だ」と話す。パンディCEOは、映画会社とNetflixの例えを引き合いに、「コンテンツをどのようにデリバリーするかが重要」とし、デリバリーの分野を強化する方針を明らかにした。その第一歩として、クラウドベースのWindowsデスクトップやアプリケーション・デリバリーのリーダーであるMainframe2(Frame)社を買収する。Frameは、ウェブスケールのアーキテクチャーに自動スケール機能を組み込み、ユーザー、デスクトップ、データを完全に分離した形で、複数のテナントをネイティブにサポートする。
パンディCEOは「コンテンツをイノベーションするだけではなく、デリバリー方法も革新技術を用いて変えていく。そしてコンテンツとデリバリーを融合させる。それが、ニュータニックスが歩むここ3~5年の道筋だ」と話した。
新たな「ファミリー」が加わる
ニュータニックスは、社員だけではなく、顧客、パートナーも合わせて「ファミリー」と呼ぶ。ニュータニックスの成長に、このファミリーの拡大は必要不可欠だ。今回のツアーでも新たなファミリーが加わった。日立、サポートも含め提供
日立製作所は、Enterprise Cloud OSのプラットフォーム・ベンダー・ディストリビューション契約をニュータニックスと結んだ。日立のPCサーバー「HA8000Vシリーズ」にEnterprise Cloud OSを搭載し、動作保証をして販売する。また、認定サポートパートナー契約も結び、日立による保守の一括窓口が実現した。
日立の郷博・IoT・クラウドサービス事業部事業主管は、「お客様、市場の高まりを受けて日立、日立グループでニュータニックスのソフトウェアのサポート体制の構築を進めてきた。若干、準備に時間がかかったが、今回のイベントに間に合った。今後も市場からの要望に応えていきたい」と意気込みを語った。
Big SwitchがReady認証を取得
今年初めて、Nutanix .NEXT on Tour 2018のゴールドスポンサーとして出展したBig Switch Networks。同社のスイッチングファブリック「Big Cloud Fabric(BCF)」がネットワーキング部門で「Nutanix Ready Core」認証を取得した。
BCFは、データセンターのネットワークをSDNベースで構築し、その運用を自動化できる。スイッチに設定や管理を個別に行う必要がなく、コントローラーから設定を制御、運用管理を行うことができる。これにより構築や運用にかかるコスト、時間を削減できるという。
Big Switchの安田哲氏は「運用管理がシンプルである特徴を押し出し、トータルなITシステムとして提案していく。またNutanix HCIとパッケージ製品の開発も進めており、顧客と販売チャネルの拡大に期待している」と話した。
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