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脳科学をマーケティングに本格適用 リクルートとTVCMの制作に応用――NTTデータグループ
2018/08/09 10:00
週刊BCN 2018年08月06日vol.1738掲載
NTTデータグループが取り組む脳科学は、体の断層画像を撮影するMRIの一種「fMRI」を使い、脳の活動状況をモニターする。fMRIの被験者に「楽しい映像」「悲しい映像」「走っている映像」など膨大な画像素材を見てもらって、その人の脳がどのように反応したかを計測。脳の動きと言葉を結びつけたデータをもとに、人工的な“脳”の認知モデルをコンピューター上につくり出す仕組みだ。ここ数年来、産学連携などを通じて研究開発を進めてきた。
この“人工脳モデル”にテレビ広告を“見せる”ことで、人がどのように感じるかを事前にシミュレーションできる。30秒の映像であるならば、秒単位で「楽しい→先進的→驚いた→共感した」といった感じ方の変化の推移まで導き出せる。
今回のリクルートコミュニケーションズとの協業では、同社がもつテレビ広告の広告効果を予測するノウハウと、NTTデータグループの脳科学の知見を連携させることで、「効果予測の精度を一段と高めていく」(NTTデータ経営研究所の茨木拓也ニューロイノベーションユニットシニアマネージャー)ことを目指す。
また、「NORCS」とは別に、NTTデータグループでは、脳科学の技術を用いて動画広告の解析や評価を行う独自の「DONUTs(ドーナツ)」サービスを始めている。同サービスでは、今後、年齢や性別といった属性によって感じ方が異なる部分、あるいは意外な共通性を見出せるようにする。例えば10代少女、20代女性、50代男性といった「属性にもとづく感じ方の違いをより細かくシュミレーションできるようにしていく」(矢野部長)ことを検討している。
「DONUTs」をクラウド上で公開し、さまざまな人に実験的に使ってもらいやすくする予定。こうした取り組みによって市場を開拓し、向こう5年で100億円規模の事業に育てていく。(安藤章司)
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