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アイティーエム 新体制で挑むエンドポイントセキュリティ「AppGuard」の提供を強力に推進
2018/06/07 09:00
週刊BCN 2018年06月04日vol.1729掲載
2017年、生まれ変わった
アイティーエム
約20年にわたりシステム運用・監視サービスなどを提供してきたアイティーエムは2017年1月4日、日商エレクトロニクス(日商エレ)の完全子会社だったエヌシーアイ(同日付で日商サイバーセキュリティに商号変更後、同社と吸収合併)の会社分割に伴い、サイバーセキュリティ事業を除く全事業を承継した新設会社として誕生した。同時に、日商エレから同じ双日グループのさくらインターネットに全株式が譲渡されたことにより、さくらインターネットの完全子会社となった。
同年5月に、新生エヌシーアイは商号を変更し、現在の「アイティーエム」として再スタートした。1年が経過した現在、成長に向けた期待の商材として、AppGuardの提供を強力に推進していこうとしている。伏見明彦・取締役ソリューション営業本部長は、「今後、当社がMSP(マネージドサービスプロバイダ)としてサービスを提供していくうえで、AppGuardが肝になっていく」と力を込める。
AppGuardは、エンドポイントの正常な動作と機能を守ることに特化したエンドポイントセキュリティ製品。アプリケーションの起動場所を限定し、攻撃対象になりやすいアプリケーションをプロセス起動時に隔離して監視下に置き、不正なプロセスやポリシー違反の動作を阻止することなどができる。マルウェアの検知や駆除を行う従来型のセキュリティ製品とは異なるアプローチでエンドポイントを保護することが特徴だ。
AppGuardはもともと、米国の政府機関で長年利用されてきた製品で、“今までに一度も破られたことがない”ことが強力なメッセージになっている。17年4月に開発元からAppGuard事業を買収したBlue Planet-works(ブループラネットワークス)は、同年4月と8月で計110億円の大型資金調達を果たして話題となった。こうした背景からさまざまなメディアに取り上げられており、AppGuardは今注目のセキュリティ製品だといえる。
アイティーエムでは、AppGuardの提供を4月に開始した。大友崇弘・ソリューション営業本部副本部長は、「これまで世の中になかった新しい概念のエンドポイントセキュリティ製品。AppGuardを当社のMSPに組み込んで提供することで新たな価値を提供できるだろう」と語る。
24時間365日体制の
運用監視体制を活用
アイティーエムは、AppGuardの提供にあたり、専用のクラウド基盤「ITM AppGuard Enterprise Management Console(AGMC)」を用意した。これを使った四つのビジネスモデルでAppGuardを展開する考え。その一つがAppGuardライセンスの再販だが、ここで独自の価値は出せないとみて、とくに次の三つの提供を推進していく。
一つめが、コンサルティングを含む新規導入時の初期環境設定の支援。顧客環境を調査したうえで、顧客ごとに設計した固有のポリシーをAGMCを使って提供する。
二つめが、顧客管理型の運用サービス。顧客の情報システム管理者が自社でポリシーを管理するケースで、管理者はAGMCのポータル画面にアクセスすることにより、AppGuardポリシーを自社で運用できる。AppGuardエージェントの自動アップデートサービスも提供。テクニカルサポートは要望に応じてスポットで対応する。
三つめが、MSP管理型の運用サービス。顧客のAppGuardポリシー運用管理をアイティーエムが代行するケースだ。なお、運用サービスの利用にあたっては、ライセンスの購入と同時に、顧客管理型かMSP管理型のどちらかを選択する必要がある。アイティーエムは、「24時間365日体制で約20年間MSPサービスを提供してきた」ことを強みとしており、MSP管理型が「一番得意なやり方」であると、大友副本部長は強調する。
AppGuard特化部隊を新設
初年度40社の導入が目標
AppGuardビジネスの本格展開に向け、アイティーエムは今年5月に組織変更を行い、ソリューション営業本部内にAppGuardの営業とエンジニアを集めた「AppGuardサービス推進グループ」を発足させた。同グループのグループ長には兼任で大友副本部長が就き、人員も増やしていく方針だ。
「エヌシーアイ時代にはソリューションに特化した組織もあったが、(17年以降の)今の体制になってからは初めての大きなチャレンジになる。初年度、40社への提供を目指す」と、伏見取締役は意気込みを示す。(前田幸慧)
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