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IoT分野が急成長 新基盤を起爆剤にチャネル開拓――ビープラッツ
2018/04/12 09:00
週刊BCN 2018年04月09日vol.1722掲載
IoT、FinTech向け機能拡充
ビープラッツは、SaaSが普及し始めた頃の2006年11月、「使った分だけ課金する」サブスクリプション型の課金プラットフォームをクラウドサービスで提供する目的で創業した。主力のサブスクリプション統合ツール「Bplats」は、IoTやクラウド、MVNO、シェアリングエコノミーなど、月額課金・継続課金が必要なプロセスである注文、契約、仕入、商品、請求管理や顧客管理などの機能を備えたサービスプラットフォームだ。代表取締役社長CEO
藤田健治 氏
これまでのBplats Channel Editionは、従量課金を含む月額請求や年額請求など、多様な請求ルールをもつ商品構成にもとづく契約管理や請求管理ができる販売管理ソリューションとして定着。富士通やユニアデックスなどのITベンダー経由でも販売している。
だが、「『Bplats』は、クラウドで提供するプラットフォームだが、実態としては各社別に当社が個別開発して納品していた」(藤田社長CEO)という。ビジネスを急拡大するうえで、開発体制を含め課題があった。そこで昨年、基本機能をそのままにIoTやFinTechの分野で幅広く利用できるように機能や柔軟性を強化し、Bplats Platform Editionをリリースした。
IoTなどの分野では、物理的デバイス、クラウドや企業個々のアプリケーションと、それらの供給・受給が複雑に関係し、事業者と販売者が売り手でもあり買い手でもあるという特有のエコシステムが要求される。
藤田社長CEOは、「Bplatsならば、こうした有機的な売買モデルを一気通貫で構築・管理できる。IoTの世界では、例えばデータの利用量やクラウドサービスの利用量を合算して料金計算・請求するケースが出てくる。基幹システムで与信をすることを含め、各種のシステムと連携する必要があり、複雑なシステム開発が必要になる。IoTビジネスを立ち上げる段階では将来を見通すことが難しく、膨大なシステム投資ができない企業が多い。こうした企業にBplatsを提供していく」と話す。
OEM供給も可能
IoT分野の利用を拡大するため、昨年12月にはソラコム(玉川憲社長)が提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のサービスに対応したSORACOMモジュールを開発することを表明した。同モジュールとBplatsを使うことで、ソラコムサービスのためのセールスチャネルを構築したり、販売管理・課金請求が可能になるほか、ソラコムのサービスを活用した新たなビジネス創出を実現する。17年10月には、レンタル・リース大手の東京センチュリーと業務資本提携し、同社のロボットや機械を実際に使った分だけ料金を払う仕組みをBplatsで導入。リース業は月別や年単位ごとの定額制が一般的。だが、「顧客の納得分」を請求するきめ細かい料金体系を整備する。
現在、ビープラッツの注力分野は、「IoT」「テレコム」「クラウド」の三つだ。昨年度(18年3月期)の売上構成比は、IoT分野が41.1%(前年度は18.6%)で、売上高を約3倍に伸ばした。IoT分野を拡大し、成長軌道を確実なものにするため、SIerとのパートナーシップを強化する。
藤田社長CEOは、「Bplatsを使って短期導入を支援できる。当社では、“レゴ・モデル”と呼んでいるが組み合わせるだけで、さまざまな要望に応えることが可能だ。BplatsをOEM供給する形での提供も可能で、ビジネス展開の幅が広がる」と、ユーザーの基幹システムを提供し、IoTを含めた新規ビジネスの提案をねらうSIerに対し、協業を呼びかけている。
なお、同社は4月4日、東京証券取引所のマザーズ市場に株式上場した。(谷畑良胤)
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