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<INTERVIEW>ものづくりIoTの旗手になる 市場の裾野を広げる唯一無二の存在に
2018/02/22 09:00
週刊BCN 2018年02月19日vol.1715掲載
日本の製造業の生産性向上は急務
東洋ビジネスエンジニアリング
大澤正典
代表取締役社長
A 2017年はまさに「働き方改革」が一大トレンドになりましたが、これはすなわち、人手不足に対応しなければならないという日本社会の課題が浮き彫りになったということでもあります。当社は製造業のお客様が多く、IoT関連のソリューションも、“ものづくりIoT”をキャッチフレーズにしています。当社がIoT領域のビジネス拡大に取り組んでいる背景には、日本の基幹産業でもあるこの分野で生産性を上げ、デジタル化による新しい価値創造ができなければ日本の未来はない、そんな危機感がありました。
人手不足という意味では、IT業界も人材確保には苦労しているわけですが、IoTというキーワードが浸透したことが追い風となって、製造業のIT活用、デジタル化に強い思いをもった優秀な人材が当社のほうを向いてくれている感触はあります。学生の皆さんにとっては、ERPビジネスといってもなかなかピンとこない部分があると思いますが、IoTというのは身近になってきていて、わかりやすいですよね。
Q 現在のIoT関連製品ラインアップをみると、製造業などの現場のデジタルデータを管理するソリューション群である「mcframe SIGNAL CHAIN」、人の動作をデータ化する「MOTION」、現場の紙伝票/帳簿をタブレット端末に置き換える「RAKU-PAD」の三本柱という感じですね。それぞれユーザーのどんなニーズに応えているのでしょうか。
A IoTについては、三つの視点をもってビジネスをやっています。まず、とにかく現場を可視化しないと何も始まらない。そこをカバーするのがSIGNAL CHAINです。状況を可視化するだけで、タイの工場では生産性が3割改善したという事例もあります。
もう一つは、人の動きをデータ化してネットワークにつなげて分析・活用しようというコンセプトで、MOTIONがそこを担っています。機械はすでにネットワークにつながっていてデータ活用の準備ができているものが多いですが、人の動きもモーション・センサで計測し、製造現場などでの作業改善に役立てることで、製造ラインの効率性はさらに上がります。
三つめが帳票のデジタライゼーションです。これはRAKU-PADで実現するものですね。例えば製造業のお客様が現場のチェックシートをデジタル化して、製品の不良などがあればカメラですぐに撮影して共有できます。データの改ざんが昨今、製造業で問題になっていますが、デジタル化される範囲が広がると、検証もしやすくなりますし、改ざんを防ぐ手立ても取りやすくなります。
米国市場での成長も大いに期待できる
Q 市場の反応はいかがですか?A いずれもすごく評判がよくて、手応えを感じています。SIGNAL CHAINはクラウド上でスモールスタートできる体制も整えていて、中小規模の製造業のお客様にも使っていただけます。MOTIONやRAKU-PADはさらに手軽に導入できますし、製造業だけでなく、建設業の現場などでも活用される事例が出てきて、私たちが考えていたよりも汎用的に使える製品であることをお客様に教えていただいたような感じです。海外に現場をもっているお客様は導入の決断も早く、当社製品をトップダウンで導入して、どんどん現場の改善、生産性向上を進めている状況ですし、国内でも引きは強いです。mcframeのパートナーを含め、エコシステムをしっかりつくって拡販していきます。
当社のIoT商材は、FAやCIMから始まり基幹業務アプリケーションでも幅広いノウハウを蓄積してきたB-EN-Gだからこそつくることができたものであり、製造業を中心にIoTの裾野を拡大していくポテンシャルを秘めていると自負しています。
Q 昨年はシカゴに米国法人も設立されましたが、米国のローカル市場開拓をIoTで進めていく方針とうかがっています。
A トランプ政権になって、米国では製造業の国内回帰をさらに進めていくことになるでしょう。米国の製造業は、実はマネジメント側の業務ではIT活用が進んでいますが、一部の大企業を除いて、現場のIT活用はあまり進んでいないんです。しかし、国内回帰の方向性を強めるなら、現場からの改善がないとコストは絶対に合いません。その課題に当社のIoT商材がぴったりはまるんです。米国内の展示会などに出展して、ニーズは大きいという手ごたえは感じていますので、大いに期待しています。
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