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日本発グローバルプラットフォーム確立に前進――ソラコム
2018/02/01 09:00
週刊BCN 2018年01月29日vol.1712掲載
IoTに特化したデータ通信サービスを提供するベンダーとして、日本発のグローバルプラットフォームの確立を目指すソラコム。2017年8月にKDDIの傘下に入ったことで業界を賑わせたが、ソラコムにとっては大手通信事業者をバックに国内外での知名度をさらに高めることにつながった。昨年は計画以上のビジネスを展開。そして、今年は次のステージへのさらなる飛躍の年と捉えて、IoT事業をさらに拡大していく方針だ。玉川憲社長に昨年の取り組みと今年の戦略について聞いた。
――まず、17年を振り返ってください。
玉川憲
社長
――確かにサービスは充実しましたね。
玉川 データ通信サービス「SORACOM Air」でセルラーだけでなく、LPWAやSigfoxなど、複数の無線規格をカバーし、しかも従量課金での提供によって、IoTの観点でいえばユーザー層が広がったと自負しています。
――KDDIグループ傘下になった効果は。
玉川 会社的には独立した会社として継続していますので、組織などではさほど変わっていません。一方で、今はまだ具体的なことがいえませんが、KDDIグループの強固なサポートやインフラと当社のクラウドネイティブなサービスを組み合わせて新しいソリューションが創造できます。また、KDDIの販売力や信用力は非常に高いので、そのグループに入ったということで、案件を中心としたお客様からの問い合わせは増えています。一段、ギアが上がったというか、ベンチャー企業のままだったらなかっただろうという問い合わせもありますので、そういった点でもメリットをもたらしています。
――傘下ではあるが、独立しているという現状は今後も継続していきますか。
玉川 KDDIからも、そのようにいわれているので、今後も継続していきます。
――パートナーが400社以上に達したということですが、この効果は。
玉川 なかでも、認定パートナーが90社を超えていますので、これもビジネス拡大につながっています。
ソラコムがKDDI傘下になることを記者会見で発表した
オープンな
パートナーシップを強化
――17年の話を聞くと、課題はなさそうですが、やり残したことはありますか。玉川 確かに課題は、常に改善点をみつけた段階で解決しますので、自慢ではありませんが「ない」というべきでしょうか(笑)。計画以上の進捗ということで、海外展開はさらに加速していきます。例えば、米国では人員増などの体制強化を含めて次の一手を打ちます。また、欧州は多言語なので米国とは一味違う市場です。各地域に合ったビジネスを手がけていきます。さらに、シンガポール拠点は本格的なビジネスがこれからなので、ASEANや中国など、どこをどのように攻めていくべきかを含めて慎重に考えて展開していきます。
――売り上げは順調に伸びていますか。
玉川 公開はしていませんが、お客様が確実に増えています。また、一度当社のサービスを使っていただいているお客様はサービスを停止する率が非常に低い。ストックビジネスとして、着実に増えていることは確かです。
――ビジネスを拡大していくうえで、パートナーに求めることは。
玉川 お客様によるIoTに対する意欲はますます高まっています。それに応えることができるように、パートナーと一緒にソリューションをつくっていきたい。例を挙げれば、実証実験をしたいというお客様が増えていますので、早めにチャレンジしてくださるパートナーは大歓迎です。また、これまでの一般的にいうところのパートナーシップはクローズドなものが多かったといえます。一方、今はオープンなパートナーシップ、とくにIoTはこれからのマーケットでしかもスピードが速いので、さまざまなパートナーシップが重要になってきます。このようなことを理解してくださるパートナーとの関係を深めていきます。そして、IoT事業を拡大していきます。(佐相彰彦)
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