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中国で裁判のIT化進む 福建高院がアリババのAI導入
2017/12/27 09:00
週刊BCN 2017年12月18日vol.1707掲載
中国で裁判所の情報化が進んでいる。福建省高級人民法院(福建高院)は12月6日、アリババグループとの提携を発表した。次世代ITを活用した裁判所「インテリジェント法院」に向けた取り組みを推進する。
福建高院は、クラウドサービス「阿里雲」の人工知能(AI)サービス「ET」を導入した。ETは音声認識を得意とするAIで、音声を瞬時に文字に変換することができる。法廷で速記官の役割を担い、陳述の内容を一字一句そのままに記録。従来の人間による速記のミスを防ぐ。
また、裁判官のアシスタントの役割も担う。過去の判例データから類似する案件を検索・分析し、裁判官の判断を支援。類似案件の裁判で、不公平・不公正の防止につなげる。
中国では、2016年頃からインテリジェント法院に向けた動きが活発化。インターネット上で訴訟を申請できる「12368訴訟サービススマートプラットフォーム平台」は、すでに上海などでサービスが始まっている。国務院が16年12月に発表した「“十三五”国家信息化計画」では、全国の裁判所でネット訴訟の比率を20年までに15%に引き上げるなどの目標を掲げている。17年8月には、試験裁判所として、ネット上で裁判を行う「インターネット法院」も杭州で初めて設立された。アリババ、百度、テンセントなどの大手インターネット企業や、科大訊飛などのAI関連企業は、各地方の裁判所と手を結び、インテリジェント法院のビジネスチャンス獲得に動いている。(真鍋 武)
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