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日本発ソフトウェアベンダーとして米国で勝負――東洋ビジネスエンジニアリング
2017/12/21 09:00
週刊BCN 2017年12月18日vol.1707掲載
東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、大澤正典社長)は、米国に現地法人を設立した。現地のローカルマーケット開拓を主軸に、向こう3年間で100社の顧客獲得を目指すという。喜多井健・グローバルビジネス推進本部長は、「新しいITのトレンドを次々と生み出し、まさにグルーバルIT市場の中心として君臨している米国では、日本のソフトウェアベンダーはほとんど活躍できていない。その壁を破るチャレンジをしたいし、手応えはある。当社も、東アジア、東南アジアなどでは、日系企業の現地法人を中心に海外ビジネスを積極的に展開してきたが、また一段違うレベルで海外市場での成長を目指したい」と力を込める。
喜多井健・グローバルビジネス推進本部長(左)と、
米国法人の代表を務める館岡浩志・マーケティング企画本部商品企画1部・新商品開発本部担当部長
“米国市場で勝てる日本発ソフトウェアベンダー”となるためには、高いハードルが横たわっているといえそうだが、同社には成算があるという。カギを握るのは、近年、同社が注力しているIoT関連商材だ。米国法人の代表を務める館岡浩志・マーケティング企画本部商品企画1部・新商品開発本部担当部長は、「米国のSCMカンファレンスである『APICS』に今年を含めて4回出展しているが、当社のIoTソリューション群を“カイゼンIoT”としてPRしたところ、多くの来場者、とくにローカルのお客様に興味をもってもらえた」と話す。
具体的には、製造現場のさまざまな情報をデジタルデータとして活用する同社のIoTソリューション群「mcframe SIGNAL CHAIN」の一製品である「稼働モニタリング」(製造設備の稼働状況のデータを自動的に取得して記録、モニタリング、分析できる)や、作業者の動作・姿勢分析システム「MOTION」、現場の紙伝票/帳簿をタブレット端末に置き換える「RAKU-PAD」などを展示。こうした取り組みの成果もあって、昨年の時点ですでに2件の受注があった。
「米国はITの先進国というイメージがあるが、マネジメント側の業務でのIT活用は確かに積極的であるものの、産業向けの文脈でITが語られることはあまりなく、一部の企業を除いて、とくに製造業の現場などは意外にIT活用が進んでいない。IoTはまさに現場の情報を活用するわけだが、APICSにも、IoTソリューションの出展はほとんどない。ここに入り込める余地があると考えた。しかも、IoT関連製品は、従来の当社の主力製品である生産管理システムなどよりもずっと手軽に導入できる。これを前面に打ち出して、顧客基盤を拡大したい」(館岡部長)。
米国法人の拠点は、シカゴに置いた。これには、「米国は中西部から南部にかけて製造業が盛んで、効率よく顧客をカバーできるし、米国は広く、時差もあるので、経度としては真ん中あたりが西海岸や東海岸の案件にも対応しやすい」(喜多井本部長)という意図がある。
現在、現地法人のスタッフは3人体制だが、来年1月以降、随時増員していく。また、現地のSIパートナーもすでに3社確保しているが、SIer以外の販路も整備し、米国のローカル企業開拓のためのエコシステム構築に力を注ぐ考えだ。(本多和幸)
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