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組込み総合技術展、自動車向けOS新製品やAI実装型エッジコンピューティングの発表相次ぐ
2017/11/16 10:48
APTJは、組み込みソフト開発に強いSIerなどから開発資金を調達。AUTOSAR準拠の車載OS「Julinar(ジュリナー)」を開発しており、今回は出資者を中心に6社のベンダーを通じて自動車部品メーカーなどへの先行販売に踏み切る。販売を担うのはヴィッツ、キヤノンITソリューションズ、サニー技研、東海ソフト、富士ソフト、菱電商事。先行販売を通じて、顧客である「自動車部品メーカーの意見を採り入れながら完成度を高めていく」(高田会長)考え。
APTJの高田広章会長
開発資金としてAPTJは、今年度に入って2回目の第三者割当増資を10月に実施。富士ソフトなどから新たに3億円余りを調達し、これまでに累計で約20億円を確保している。さらに自動車部品メーカーから「開発費」として資金援助を得ながら開発を進める。安全性能や品質を重視する日本の部品メーカーからの厳しい要求を受けて、「予想より開発費がかさんでいる」(高田会長)というが、パートナーや部品メーカーからの協力を得ながら、万全の体制で臨んでいく方針だ。
国内部品メーカーを中心に、国内サポート体制が充実している国産AUTOSARへのニーズは高く、引き合いも強い。予定どおり来年9月に「Julinar」が完成すれば、20年度には単年度黒字化を達成できる見込み」(APTJの高嶋博之社長)と手応えを感じている。国産AUTOSARを巡っては、SCSK陣営などがライバルとなっており、今後、受注合戦が過熱していくものとみられる。
APTJの高嶋博之社長
また、組み込みソフト開発大手の富士ソフトは、「IoTフォグコンピューティングゲートウェイ」を展示。IoTのセンサやカメラからあがってくる膨大なデータを前処理して、効率よくビッグデータ分析を行えるようにする、IoTエッジコンピューティングの製品である。注目すべきは、このエッジにプログラム可能な演算チップの「FPGA」を採用し、クラウド側で学習したAI(人工知能)ロジックをFPGAチップに反映できる仕組みにしたことだ。
FPGAエッジAI方式を採用した「IoTフォグコンピューティングゲートウェイ」の展示品
同社では、これを「FPGAエッジAI方式」と呼んでおり、「従来のIoTのエッジ端末に比べて早く、的確に前処理が可能になる」(富士ソフトの石井友盛・エンベデッドプロダクト事業推進部部長)と話している。AIロジックをエッジ側の処理チップに組み込むことで、例えば防犯カメラの異常検出をエッジ側で効率よく行ったり、リアルタイム性が求められる工場の生産ラインでの超高速IoTエッジ処理の実現にもつなげられる見通しだ。
富士ソフトの石井友盛・エンベデッドプロダクト事業推進部部長
組込み総合技術展(ET2017)は、IoT総合技術展も併設したかたちで、11月17日までパシフィコ横浜で開催している。
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