ニュース
オラクル傘下入り後のR&D投資は増額――米ネットスイート「SuiteConnect」
2017/10/26 09:00
週刊BCN 2017年10月23日vol.1699掲載
【米サンフランシスコ発】米オラクルが、10月1日から5日までの5日間、米サンフランシスコで開いた年次プライベートイベント「Oracle Open World(OOW) 2017」のクロージング・キーノートは、「SuiteConnect」と題して、エバン・ゴールドバーグ・ネットスイート担当エグゼクティブ・バイスプレジデント(EVP)が登壇した。オラクルが、有力クラウドERPベンダーとして成長していたネットスイートを約1兆円で買収したのは、昨年11月。それから約1年が経過し、オラクル傘下でネットスイートがどんなビジネスを展開していくのか、ネットスイートの創業者でもあるゴールドバーグ氏が語った。(取材・文/本多和幸)
エリソン会長の
アドバイスと出資
SuiteConnectにおけるゴールドバーグEVPのプレゼンは、「ネットスイートとは何か」をOOW 2017に集まったオラクルのユーザーやパートナーにていねいに説明する、まさに新しく傘下に入った有力企業のお披露目ともいうべき趣をもっていたように感じる。
エバン・ゴールドバーグ
EVP
オラクルの販売網で
グローバルな成長を支援
ゴールドバーグEVPは、「財務会計、プロジェクト管理、SCM、HCM、CRMも含めて、ユニファイドシステムとしてつくったことが、ネットスイート製品の最大のポイント。単一のデータモデルであらゆる業務をクラウドでつなぐ製品として最初から開発してきたことは、現在でも競合に対する優位点になっている」と強調した。SuiteConnectでは、マーク・ハードCEOもゲスト登壇し、ゴールドバーグEVPと対談した。ハードCEOはオラクル側がネットスイートにどのように関わっていくのか、次のように説明した。

マーク・ハードCEOもゲスト登壇
「オラクルはネットスイートをとにかくサポートし、いろいろな市場でチャンスを拡大していく。ほとんどのSaaS企業は米国でしか成功していないが、オラクルにはグローバルなディストリビューションの力がある。パートナーを増やしてプレゼンスを向上させたい。また、ネットスイートのR&Dにもっと多額の投資をして、より多くの国でのローカライズも支援していく。SMB市場のポテンシャルが大きい地域はたくさんある。エンタープライズ向け(のオラクル)と中堅・中小企業向け(のネットスイート)、さらにネットスイートは再業種向けソリューションの開発にも取り組んでいて、完全な補完関係が成立している」。
ゴールドバーグEVP、ハードCEOは、ネットスイートがオラクル傘下になることで、両社のビジネスの成長を加速させることができると会場にアピールしたかたちだ。
ネットスイートのこれから、実際のところ
リー・トンプソンAPJ担当シニア・バイスプレジデントに聞く
――オラクルによる買収の影響は?
――オラクルとどの程度戦略を共有することになるのか?
トンプソン ロードマップはシェアするが、個別の製品開発についてオラクルにレポートはしない。基本的には、あくまでもネットスイートのポートフォリオのなかで必要なものを開発する。
――ネットスイート製品とオラクルのERP Cloudは本当に競合しないのか。対象ユーザーの規模は重なっているように思えるが。
トンプソン 私のなかでは棲み分けはクリアだ。オラクルは大企業向けの市場で多くの成功を収めている。一方でネットスイートは、エンド・トゥ・エンドのソリューションをミッドマーケット向けに提供してきた。とくに複合的な組織や事業形態にスピーディにインプリしていくような案件では、ネットスイートがオラクルの補完的な役割を果たすはずだ。日本でも、そうしたビジネスを一緒に、強力に進めていくつもりだ。
- 1