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大阪でデジタルトランスフォーメーションを説く、初の「BCN Conference in OSAKA」を開催
2017/09/25 15:40
冒頭、週刊BCN編集委員の谷畑良胤が挨拶。基調講演では、サイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授が登壇し、「デジタルトランスフォーメーションの現在と未来―デジタルは、わたしたちのビジネスをどう変えるのか―」と題して、デジタルトランスフォーメーションがビジネスにインパクトを与えていくのかについて、考えるヒントを紹介した。
勝教授はまず、トランスフォーメーションをサナギが蝶になるように生物の正常な生育過程において形態を変えることに例えたうえで、「PCを使わなくなった代わりにスマートフォンやタブレット端末を使うようになった。連絡手段では、これまではメールが一般的だったが、最近はメッセンジャー、そしてこれからはプロジェクト管理ツールが増えていく」と、業務のあり方が変わっていくことを指摘。ルーチンワークできる業務をIT化などで自動化、人の業務は本質的な部分だけに絞り込むことがトランスフォーメーションだとしたうえで、「ユーザー企業は、IT化にかける予算はそう変えることはできないが、自動化できるものに投資していって業務プロセスを変えることが重要」と、ITベンダーはそのような製品・サービスを提供することの必要性を示唆した。
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サイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授
続いて、日本HPの九嶋俊一・執行役員パーソナルシステムズ事業本部長兼サービス・ソリューション事業本部長が「企業の生産性を高めるOffice of The Future~資産の遊休リソースを使いきる“現実的IoT”でスマートオフィス化を目指す試み~」をテーマに特別講演を行った。九嶋執行役員は、「スマートオフィス化には、身近なPCやプリンタから変えることが必要」とし、PCやプリンタにセンサを内蔵してデータを取得し、スマートフォンなどをハブにそのデータを最大限に活用できるソリューションを日本HPが実現することを強調した。また、「10年後には、中国やインドで中流階層が40%になる。未開拓の市場が生まれるため、それを視野に入れながら製品を開発していくが重要」と述べた。
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日本HPの九嶋俊一執行役員
午前が基調講演と特別講演で、午後は2つの会場に分かれて、有識者や業界を代表するITベンダーが、それぞれの立場・テーマでIT業界の現状と未来、製品やソリューションについて講演。各社が自社の強みや市場動向などを説明した。
「A会場」では、日本オラクルで「オラクル・デジタル」を担当する本多充執行役員が、「デジタル時代を勝ち抜くには!?~事例に学ぶ、PaaS/IaaS導入の成功へのシナリオ~」と題して講演。本多執行役員は同社のクラウドについて、「一番の特徴は、PaaS/IaaS/SaaSすべてのカテゴリに対応するソリューションを揃えていること。ハードウェアからアプリケーションまで、すべてクラウドで提供可能で、お客様は都合に合わせてソリューションを選ぶことができる」とアピールした。
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日本オラクルの本多充執行役員
ネットワールドは、福住遊・ストラテジック・プロダクツ営業部係長が「ストレージからみるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の最新動向」をテーマにストレージベンダーがどのような考えでHCIを提供しているかを説明した。福住係長は、「HCIが非常に伸びている一方、ストレージがだんだん売れなくなるとの見方があるが、ストレージは絶対になくならない」と断言したうえで、専業ベンダー各社のストレージが絶好調であるなかでトレンドを踏まえてHCIへの取り組みを強化していること、具体的なアプローチが各社各様でHCIを支えるストレージ技術でどんな特色を出せるかをポイントにしていることなどを挙げた。
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ネットワールドの福住遊係長
パラレルスの下村慶一代表取締役は、「インターネット分離による標的型サイバー攻撃への対応とモバイル化対応の提案」と題して、インターネット分離について同社のユーザー実例と合わせて紹介。そのなかで下村代表取締役は、「クライアント仮想化によるITが、セキュリティや働き方改革、IT資産の有効活用(コスト削減)、モバイル対応(攻めの経営)といった組織が抱える課題を解決する」と説いた。
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パラレルスの下村慶一代表取締役
アーク・システムマネジメントは、寺本佳弘・営業本部営業技術部長が登壇し、「NAS型データ共有とデータ保全アプラアンス及びHCI構成統合ソリューションのご紹介」をテーマに講演した。寺本部長は、「われわれは、データが簡単に保護できる環境に注目しており、デスクトップ型からラックマウント対応まで、幅広く保全アプライアンスを提供している」と、短期間で設計・移行・運用できるストレージ・インフラを構築可能な同社の製品をアピールした。
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アーク・システムマネジメントの寺本佳弘部長
Dell EMCは、馬場健太郎・インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括パートナー営業本部長本部長が「デジタルトランスフォーメーションの実現を支えるDell EMCの先進 インフラソリューション」と題して、業界で最も先進的な同社のオープンネットワーキングソリューションを紹介。馬場本部長は、「Dell EMCは、デジタルトランスフォーメーションをトータルで支援できる。まずは、古いインフラの近代化を進めてほしい」との考えを示した。
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Dell EMCの馬場健太郎本部長
A会場の最後は、「2017年上半期ITトレンド~クラウドの風向きが変わるかも~」と題して週刊BCN編集長の畔上文昭が司会となって、ゲストに経済産業省近畿経済産業局の有馬貴博・次世代産業情報政策課課長補佐を招いて、関西のIoT関連における事例を講演した。このなかで有馬課長補佐は、「関西で力を入れているIoTは、大阪が開催地として立候補している万博と非常に親和性が高い。IoTと万博の掛け算でいい効果を生み出していきたい」との考えを示した。
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経済産業省近畿経済産業局の有馬貴博課長補佐
一方、「B会場」ではまず、MetaMoJiの浮川和宣代表取締役が「タブレットが開く新しいITビジネス」をテーマに講演。先進のユーザー事例を使いながらMetaMoJi のアプリケーションの紹介、タブレット端末によって拡がるビジネスの可能性について説明した。浮川代表取締役は、建設現場や店頭接客に加えて一般オフィスの会議でも同社の製品が活用されていることを挙げながら「当社の製品によって、タブレット端末が業務で十分使えるデバイスになる」ことを訴えた。
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MetaMoJiの浮川和宣代表取締役
インフォテリアの垂見智真・ASTERIA事業本部マーケティング部部長は、「データの利活用を促進するビジネスプラットフォーム 国内シェアNo.1データ連携ツール『ASTERIA WARP』と活用事例のご紹介」と題して登壇。垂見部長は、ビジネスに役立つさまざまなデータを「カンタン・カイテキ」に利用するために、データ分析基盤、大規模連携基盤、ハイブリッド・クラウド基盤として、データの利活用を促進し、さまざまな業務の自動化を実現することをアピールしたうえで、「ASTERIA WARPでは、ユーザーグループがあって、ユーザーとなり得る多くの企業が製品を知っているため、販売パートナー様にとっては手離れがいい。アダプタ開発プログラムも用意している」と、多くのSIerに売ってくれるよう呼びかけた。
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インフォテリアの垂見智真部長
Nimble Storage Japanは、江川学・シニアセールスエンジニアが「顧客ロイヤルティの高い製品で創るビジネスチャンス IoTを活用した製品の高い優位性」をテーマに登壇。Nimble Storageがなぜ売れているのかを説明した。江川シニアセールスエンジニアは、「ストレージメーカーでありながら、システム全体を可視化できないかを追求している点が強み」とその理由を述べ、他社と差異化を図った製品・サービスで世界の1万社を顧客として獲得したことをアピールした。
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Nimble Storage Japanの江川学シニアセールスエンジニア
ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春・シニア・システムズ・エンジニアは、「デジタル・トランスフォーメーション時代に求められるデータ保護対策とは?~今世界中で注目されるアベイラビリティによるデータ保護のポイント~」と題して登壇。吉田シニア・システムズ・エンジニアは、仮想化やハイブリッド・クラウド、ハイパー・コンバージドなど、新しいテクノロジーの導入があたりまえのように増えているが、データ保護については今までと全く同じ古いままのテクノロジーをそのまま使用し、思ったほどの導入効果が発揮できなかったり、障害発生時の正しいリカバリが行えず障害に伴うビジネスへの悪影響が発生してしまうケースが見受けられるとし、「これらの課題をVeeam製品による新たな次元のデータ保護『アベイラビリティ』で解決する」と強調した。
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ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春シニア・システムズ・エンジニア
キヤノンITソリューションズは、長谷川隼也・基盤・セキュリティソリューション事業本部基盤・セキュリティソリューション企画センター企画部チーフが登壇し、「多様化するメールセキュリティのリスクに強固な対策!標的型攻撃にも有効なメール無害化」と題して、メール送受信時のセキュリティ対策を「1台で実現」する統合メールセキュリティ製品「SPAMSNIPER AG」を紹介。長谷川チーフは、スパム・ウイルスメール対策や誤送信対策に加えて標的型攻撃にも有効なメール無害化機能の搭載で企業の安全なメール運用を支援することをアピールしたうえで、「ユーザー企業の意識改革を行いながら、自動化を実現するシステムを導入することが重要」と、来場者であるSIerに訴えた。
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キヤノンITソリューションズの長谷川隼也チーフ
B会場の最後は、週刊BCN編集委員の谷畑良胤が司会となって、ゲストにリバティ・フィッシュの社長で日本情報技術取引所(JIET)の関西支部長である石丸博士氏を招いて、「これだけは知って!DX時代に必須のテクノロジー~顧客提案で響くビジネスモデルとは?~」と題して、関西ならではの成功モデルを考察。石丸氏は、JIET関西支部長の立場から「近畿の各団体が連携する『KISS』が立ち上がって、新しいビジネスを展開する基盤が整いつつある」と、近畿発の製品・サービスがつくられる可能性を述べたほか、実際に近畿ではRubyビジネス推進協議会が次世代センサ「SenStick3」を製品化したことを強調した。
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JIET関西支部長の石丸博士氏
イベントでは展示ブースも設置。多くの聴講者がセッションの合間にブースを訪れた。
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各社が展示ブースを出展
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