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「HUAWEI CONNECT 2017」クラウド強化姿勢をより鮮明に

2017/09/21 09:00

週刊BCN 2017年09月18日vol.1694掲載

企業向けAIサービス「EI」など発表

【上海発】華為技術(ファーウェイ、郭平・輪番CEO兼取締役副会長)は9月5日から7日、中国・上海で自社最大規模の年次イベント「HUAWEI CONNECT 2017」を開催した。グローバルの約150か国・地域から2万人を超えるパートナーやユーザーが集まったこのイベントで、同社は最新の戦略や製品・サービスを発表。クラウドを通じて事業拡大を図る姿勢を鮮明に示した。

クラウド・アライアンスで
パートナーと共存共栄

 今回のテーマは「Grow with the Cloud」。クラウドに力点を置いた基調講演やセッションが多く設けられ、同社にとってその重要度が増していることを印象づけた。ファーウェイでは、2025年までにすべて企業がクラウドの技術やビジネスモデルを取り入れ、85%以上の企業アプリケーションはクラウド上に移行されるとみている。
 

郭平
輪番CEO兼
取締役副会長

 初日の基調講演では、郭・輪番CEOが、「世界のクラウドは今後、統合と集約化が進み、将来的に五つに集約される」と予測。そのうえで、「パートナーと連携し、5大クラウドの一つを構築する」と宣言した。実現に向けた戦略は「クラウド・アライアンス」だ。これは、3大航空連合の「スカイチーム」「スターアライアンス」「ワンワールド」にちなんで名付けたもので、自社だけでなくパートナーと手を組み、クラウド市場を切り開く戦略となる。ファーウェイは、中国国内では「華為企業クラウド」を自社運用するが、中国電信とも「天翼クラウド」を共同展開。海外では、ドイツテレコム、テレフォニカ、仏Orangeと提携してパブリッククラウドを提供している。最大の顧客先である通信キャリアとの競争を避けるため、自社単独でのクラウドにはこだわらない。むしろ、海外では、各国・地域の市場に精通し、大規模な顧客基盤を有する通信キャリアを利用するメリットは大きい。郭・輪番CEOは、「エコシステムのなかで、ファーウェイの取り分はわずか1%。残りの99%はパートナーにある」と明言し、あくまで共存共栄していく姿勢を強調した。

 ファーウェイは、クラウド強化にあたって今年3月、独立した「クラウド事業ユニット(Cloud BU)」を設立。年内で2000人規模の体制にする構想を掲げている。続いて基調講演した鄭葉来・クラウド事業ユニット/ITプロダクトライン担当プレジデントは、「3月の創設時からクラウドユーザー数は238%増加している」と好調をアピール。具体例として、独フォルクス・ワーゲン(VW)や、蘭フィリップス、中国工商銀行、政府機関などの導入事例を紹介した。

AIなど新製品も投入
クラウドがEBGを牽引

鄭葉来
クラウド事業ユニット/
ITプロダクトライン担当
プレジデント

 ファーウェイでは、将来的にすべての製品とサービスに人工知能(AI)を盛り込んでいく方針。鄭・プレジデントは、今イベントの目玉である新サービス「Huawei Cloud Enterprise Intelligence Services(EI)」を発表した。同サービスは、機械学習やディープラーニング、グラフ解析基盤などの「AIプラットフォームサービス」、視覚認識、音声認識、自然言語処理、文字認識(OCR)などをAPIで提供する「AI汎用サービス」、物流や金融、スマートシティなど、産業固有のニーズに対応する「シナリオ別AIサービス」の3要素で構成。まずは「華為企業クラウド」を通じて提供していく。すでに自社のサプライチェーンプロセスに採り入れ、物流や倉庫管理などの高度化に成功している。外部ユーザーでは、中国の太平洋保険(CPIC)や深セン市交通警察局、欧州原子核研究機構(CERN)などが「EI」を採用。例えば、深セン市交通警察局では、AIを活用した「インテリジェント交通ソリューション」によって、交通違反の画像スクリーニングの効率を以前より10倍向上させたという。

閻力大
法人向け
ICTソリューション事業グループ
プレジデント

 イベントで記者会見した法人向けICTソリューション事業グループ(EBG)の閻力大・プレジデントは、クラウドサービスで注力する国・地域について、「中国、欧州、ラテンアメリカだ」と方針を示した。調査会社IDCによると、中国パブリッククラウド(IaaS)市場の16年シェア上位は阿里雲(40.67%)、中国電信(8.51%)、騰訊雲(7.34%)、金山雲(6.02%)で、ファーウェイは「その他」の分類に甘んじているが、中国は今後の成長余地が大きい。工業和信息化部(工信部)が発表した「クラウドコンピューティング発展三年行動計画(17-19年)」では、19年のクラウド産業規模を15年比3倍弱の4300億元にする目標を掲げている。欧州地域は、提携している通信キャリアが地場市場で強いプレゼンスをもち、ラテンアメリカでは、提携しているテレフォニカが「強力なオペレーション能力をもっている」(閻・プレジデント)。一方、Amazon Web Services(AWS)やマイクロソフトのお膝元である米国での市場参入はまだ未計画。これに対して、市場の勢力図が定まっていないアフリカ地域については「必ず進出する」(同)と明言した。

 ファーウェイの16年度(16年12月期)EBG売上高は、前年度から47.3%伸びた。18年度末には、売上高100億米ドルを目標を掲げている。クラウド事業ユニットの売り上げがEBGで計上されることを踏まえ、閻・プレジデントは、「今後は、2年ごとにEBG売上高を倍増させることも可能だと考えている」と自信をみせた。
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