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週刊BCNが札幌でITトレンドセミナー、セキュリティや無線LANの最新製品を紹介
2017/08/04 17:19
基調講演では、クラウド利用促進機構の総合アドバイザーテクノロジー・リサーチャーの森洋一氏が、「米自動運転車開発にみるIT産業のパラダイム・シフト!」と題し、最新動向を話した。森氏は「自動運転車を学べば、現在の主要なデジタルテクノロジーを知ることができる」と述べ、米運輸省の自動運転に関するレベル定義などをもとに米自動車業界の状況を説明した。
レベル2のテスラの自動運転車や世界初のレベル3のアウディA8などを解説。森氏によれば、「A8は、前方バンパーの下にレーザーのスキャナを装備。電波の跳ね返りで障害物を感知する。高速道路の渋滞で、すべて車任せにして、運転手は何もしなくていい。条件付きだが、やっと自動運転が本格化した」と話した。また、米自動車会社の状況について、「フォードはクラウド上で自動運転用のシステム開発をしている。また、フォードはライドシェアのUBERと提携。UBERはボルボと提携した」と、技術競争が本格化していると説明した上で、「いま進んでいるイノベーションとは、ITと機械を融合した産業の大変革だ」と、今後のIT産業を提示した。
クラウド利用促進機構の森洋一氏
セッション1では、キヤノンITソリューションズの基盤・セキュリティソリューション事業部営業三部営業一課の後藤淳子氏が、「新たな『入口対策』『出口対策』をキヤノンITSとともに提案しませんか?~いま必要な『標的型攻撃対策』とは~」と題して、自社開発の総合情報漏えい対策ソリューション「GUARDIANWALLシリーズ」などについて説明した上で、企業・組織に必要な対策について語った。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威2017」では、2017年も昨年に続き、依然として標的型攻撃の脅威が高まっている。後藤氏は、「マルウェアやランサムウェアがメールなどで送られてきても、すぐに被害が出るわけではない。攻撃の8割は、企業をねらったメールから。難読化が進み、サンドボックス技術でも見抜けない傾向にある。二重拡張子を利用した添付ファイルの偽装や、ファイル名を空白化するものなどが多い。さらには、標的型攻撃メールのうち94%が差出人アドレスを詐称している」と、標的型攻撃の現状を話した。
その上で、「GUARDIANWALLシリーズ」を解説した。後藤氏は「入口のメール対策としては、『Mailファミリー』で悪意のある添付ファイルを検知やアドレス詐称を見抜く機能がある。出口対策では、『Webファミリー』でプロキシ認証機能などをすることができる。シリーズは1999年に誕生しているが、クラウド・サービスなど市場ニーズに合わせ機能アップしている」と語った。
キヤノンITソリューションズの後藤淳子氏
セッション2では、チエルの札幌営業所の佐藤勝哉・所長とNOASystems.incのJeong Jae Keum(クム・チョンジェ)CEOの二人が登壇し、「TCP通信の課題を解決するあたらしいソリューション『Tbridge(ティーブリッジ)』のご紹介」と題し講演した。佐藤所長は「この製品は3年前、韓国のNOASystems.incと共同開発し、国内で独占販売を開始した」と、取り扱いの経緯などを話した。
チエルの佐藤勝哉・所長
チョンジュCEOからは、製品の概要と強みの説明があった。「学校や一般企業でも、幅広い分野で無線LANが使われている。16年は無線の使用量が有線を超えた。約50%のトラフィックは、将来的にも無線LANが半分を占める。だが、解決すべき課題は多い。速度が遅くつながりにくい。また、IT管理者からすると、問題の把握ができず、運用メンテナンスが困難で、無線LANは手間がかかるソリューションだ。とくに性能の低下に関しては、電波干渉の影響を受け、転送技術が限界。有線使用を前提に開発されているので、TCPプロトコルの非適合性がある」とした上で、IT管理者にとって扱いにくいとした。
Tbridgeは、「ネットワークモニタリングツール『Tbridge Dashboard』を提供している。パケットロス率やデータ転送の遅延率などがリアルタイムで把握できる。また、無線LANに最適化したWirelessTCPプロトコルを開発した」など、無線LAN利用上の課題を解決する特許技術を同製品の強みを説明した。
NOASystems.incのJeong Jae KeumCEO
セッション3では、アズジェントのセキュリティ・プラス営業部の折原太清氏が、「アズジェントのセキュリティサービスのご紹介~付加価値として提案できるセキュリティサービス~」と題し、海外から日本市場に投入した製品を説明した。折原氏はまず、セキュリティのグローバルリスクについて解説し「テロ攻撃と同列でサイバー攻撃対策は重要になっている。とくに、ウェブ関連のぜい弱性を狙ったものが増えている。Apache Struts2やSQLインジェクションのぜい弱性を狙った事案が多い」と、危機感を示した。
こうした背景から、アズジェントのセキュリティ製品として、運用監視と定期診断を紹介した。運用監視の「セキュリティ・プラスMSS」は、「セキュリティアナリストが常時監視している。サービス対策対象機器のイベントログだけでなく、全体の傾向をもとにインシデント内容を判断し対処法を示す」と、他社の主要製品に対応していると説明した。さらに、マルウェアの感染端末の見つけ出す「セキュア・ドックサービス」も紹介。折原氏は、「サービスはDAMBALLAという製品を使うが、この製品は機械学習を使って感染端末を早期検出し、相関分析を自動化できる。感染アラートなどリスクの発生を迅速に報告するサービスだ」と話した。
アズジェントの折原太清氏
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