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北海道共伸特機とセールスフォース・ドットコム ユーザー目線のクラウドアプリ「kyosin7」
2017/06/28 09:00
週刊BCN 2017年06月19日vol.1682掲載
業務用冷蔵庫といった機械器具設置工事などの事業を手がける札幌市の北海道共伸特機(北海道共伸、佐藤仁志社長)は、セールスフォース・ドットコム(SFDC)のオンデマンドアプリケーション共有サービス「AppExchange」上で開発した作業管理支援アプリケーション「kyosin7(キョウシン・セブン)」を販売する。このアプリは、自社内で実際に使用中のクラウドシステムを、開発課で使いやすくコンパクトにパッケージ化した「入門編」という。SFDCの環境を使ってユーザー企業がアプリ開発し外販するのは、神奈川県鶴巻温泉の旅館「元湯陣屋」(秦野市)に次いで2例目になる。SFDC日本法人(小出伸一会長兼社長)も、kyosin7の販売を支援する。
労働集約型の企業に最適
自社アプリ「kyosin7」について
説明する北海道共伸特機の
佐藤仁志社長
同社では、スーパーやコンビニといった事業者から情報を入手し、設備に適した機器を仕入れ、工期を決めて工事担当者を派遣し工事する。長年にわたり多くの設備工事をしているため、居ぬきの設備などに関する図面を保有している。出店・退店が続く場所でも、いちいち図面を入手して設計を引き直す必要がなく、「競合他社に比べ優位」(佐藤社長)に案件を獲得できていた。
だが、景気に不透明感が出てくると案件の総数が減る。「俗人的に抱えていた情報を共有したり、リアルタイムに出店・退店の情報を入手し、少人数で短期間で工期を終える」(佐藤社長)ことをしなければ、高収益体質にすることができなくなっていた。
そこで、セールスフォースを導入し、社内SNSを使って案件や工事の進捗情報などを共有したり、過去の工事情報をもとに分析した将来予測や現場の作業員の勤怠管理をモバイルで実行することなどで、「人員と売り上げのバランスが取れるようになった」(佐藤社長)という。
同社が開発したkyosin7は、そうした経験をもとに、実際に事業改革に貢献したクラウドシステムを汎用的に改良し提供するために開発した。佐藤社長の思いは「道内企業を守る」だ。道内は中小企業が多く、「労働集約型」の事業体で売り上げアップに課題を抱えている。そうした企業の一助になることを目指した。
属人的な情報をデジタルで蓄積
kyosin7は、社内SNS、スケジュール管理、顧客管理、案件進捗管理、分析、勤怠管理、モバイルの7機能を搭載している。自社名の共伸(=キョウシン)と7つの機能であることからプロダクト名が付いた。「直感的に必要な情報にアクセスでき、迅速な判断で売り上げの向上、生産性向上を実現できる」ことが売りだ。価格は、各企業別に適用させるための開発費として初期費用が10万円(税別)で、システム管理者が月額/1万円、一般ユーザーが同5000円、閲覧ユーザーが同800円と、通常のセールスフォースを導入する費用より割安に設定されている。佐藤社長によれば、kyosin7の提供先として想定しているのは、従業員が50人以下の同業他社の工事業、工務店、人材派遣会社など、「労働集約型」の事業者。「当社は、セールスフォースの導入から右肩上がりに成長している。この経験とノウハウを他社にも享受してほしい」(同)と話す。各企業ごとのカスタマイズ開発とサポートは、同社で行う。
アプリ発表会でデモをしながら
機能を説明する北海道共伸特機の
北爪勇気・開発課課長
「kyosin7」の販売支援も行う
セールスフォース・ドットコムの
北原祐司・執行役員AppExchange
アライアンス部長
ユーザーがSFDC環境で市販アプリを開発して販売するのは、老舗温泉旅館の元湯陣屋が開発したホテル・旅館業務アプリケーション「陣屋コネクト」に次いで2例目だ。陣屋コネクトは、全国数百の同業他社で使われている。社内データをデジタルで蓄積し、将来予測なども含めて活用している中小企業は極めて少ない。kyosin7は、北海道共伸が試行錯誤して開発したアプリであり、実際に利用して売上貢献している。ITベンダーが開発した市販アプリに比べ、導入を検討するユーザーは使用感をイメージしやすい。陣屋コネクトと同様に、今後注目を集めそうだ。(谷畑 良胤)
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