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DIS中四国、DXテーマに異業種交流イベントを開催
2017/06/22 13:24
大半は中国・四国の企業・団体が出展
今回のイベントは、同社が定期的に全国で実施してきた「DISわぁるど」「DIS ICT EXPO」「DIS Power Day」と異なる新しい取り組み。ブースには、IoTやAR/VR、ビッグデータ、AI、ドローンなどを先進的に取り組むITベンダーをはじめ、産業機器や測定器、センサデバイスなどの地元有力メーカーや商社などが出展した。会場では、ブース出展社が相互に情報を交換したり、一般企業やIT、大学、行政関係者らの来場者が、DXを展開する会社などと協業方法などについて語り合っていた。同社によれば、「イノベーションを共有・創出」し、地域にマッチしたソリューションを生み出すことをねらったイベントで、「地域の英知を結集し、ソリューションをつくるところから一緒に始めることを目指した」としている。
中国・四国地方の企業・団体を中心に44社が出展した
展示会場には、44社のブースが設けられた。そのうち29社は、地元岡山をはじめ、島根、鳥取、広島、山口、香川、徳島、愛媛、高知から参加した中国・四国の企業・団体だ。展示会場には、「ショートセッション」会場が設けられ、出展社の23社が自社の製品・サービスを説明していた。別会場に設けられた部屋では、2日間で5つのパネルディスカッションが行われた。テーマは、IoT社会に向けた中四国の地域課題やDXが引き出す地元産業の展開、観光を活性化するためのIT利活用、ドローン産業の最先端など多岐にわたり、地元有力者やITベンダーの幹部らが最新動向を解説した。
地元交通機関にIoT活用
中国・四国から出展した企業を中心に、ブースでの展示内容を紹介してみる。徳島のSIerであるスタンシステムは、新規事業として始めた「Smart Plant」というLED(発光ダイオード)植物工場システムを紹介した。これは、完全閉鎖型の屋内栽培用のプラントに設置した多種センサで温度や湿度などの計測データや、画像認識による生育データを決まった時間単位に自動収集するIoTシステムだ。「まずは、完全自動栽培を目指した研究用に使われることを狙っている」と話す。次いで、目についたのは地域の交通システムに向けたソリューションを展開する2社。広島のタウンクリエーションは、広島県内のバス会社で採用されているクラウド型高機能バスロケーションシステム「BUSit」を展示した。これは、各バスに搭載したGPS位置データを取得し、車両の的確な位置情報を把握するシステム。利用者は、運行状況をスマートフォンやバスの停車駅にあるデジタルサイネージで情報を取得できる。「公共バスだけでなく、幼稚園バスなどにも横展開する」と、利用領域の拡大を目指す方針だ。
ITベンダーの製品・サービスだけでなく、中国・四国地方で活躍する産業機器メーカーなども出展した
徳島の電脳交通が紹介していたのは、全国初という「クラウド型タクシーコールセンター」だ。複数の法人タクシーの車両を把握し、遠隔地から配車を行うコールセンターを運営している。同社は「地方のタクシー会社の経営は厳しい。車載機器のGPSをクラウドで吸い上げ、この情報をもとに当社が配車をオペレーションすることで、バックオフィスの運用・管理コストを削減できる」としている。
車の運行管理では、岡山の両備システムイノベーションズが、ルート配送業向け位置情報管理システム「どこルンkintone」を展示していた。このシステムは、地元紙の山陽新聞が導入。「工場で印刷した新聞を配送所に届ける際、渋滞などで遅れることがある。この情報を車載機のGPSから得たデータをもとに、配送所へ遠隔で伝達することで新聞配達の効率化に役立っている」という。
ドローンを地域活性化に生かす
今回の展示では、ドローンのソリューションを紹介する企業が複数あった。香川の空撮技研は、ドローンを活用し土壌成分診断や成長予測をするための機体とシステムを紹介していた。「当社では、ドローンを飛ばす技術者の育成や各種用途に応じたドローンのカスタマイズを行っている」と話していた。また、徳島の徳島ドローン協会は、「全国屈指のドローン団体」として、最近撮影した観光業向けの「素敵映像」や最新機体を展示。また、愛媛のジッタは、非GPS環境下(屋内)でのドローンの制御システムを展示していた。観光業向けでは、岡山のアプリ開発ベンダー、ピープルソフトウェアが、ビーコンを活用したスマホアプリソリューションを紹介していた。すでに、博物館などで導入実績があるソリューションで、施設にビーコンを設置し、アプリと連動してコンテンツを配信するシステムだ。「多言語での音声ガイドができる。ビーコンを使ったスタンプラリーなどの機能を使い、観光誘致や地域活性化の支援をしたい」と、ブースには多くの業者が説明を求め集まっていた。
地元岡山からは、イタリアEurotech社に買収され子会社になった産業用組込みボード会社のアドバネットが出展。Eurotech社のIoT向け製品として、センサデバイスとクラウドを結ぶゲートウェイや、IoT関連のアプリ開発用のESF(Every Software Framework)というミドルウェアを提示していた。「当社のデバイスは、風車やプラントなど大型施設のIoT利用で多く使われている」と話していた。
ITベンダーでは、インテルや日本マイクロソフト、トレンドマイクロ、NEC、日本ヒューレット・パッカード、セゾン情報システムズ、菱洋エレクトロなどが出展していた。各社とも、IoT関連の製品・サービス、センサデバイス、データソリューションなどを紹介。マウスコンピューターは、VR、モーションキャプチャの体験デモを実施し、多くの来場者が関心を寄せていた。
「地域創生」をテーマに観光やスマートシティ議論
展示と並行して行われたパネルディスカッションは、地域創生に関連する話題であったこともあり、120人ほどが入る会場がほぼ満席になる盛況ぶりだった。初日には、「未来のIoT社会に向けた新たなコミュニティ」をテーマに、IoTを展開する上での技術や人材面の課題などについて、総務省中国総合通信局らの産官学メンバーで話し合いが行われた。また、初日の2つめのパネルディスカッションでは、日本マイクロソフトの業務執行役員である西脇資哲・エバンジェリストがモデレータとなり、「DXが引き起こすケミカル・リアクション」と題し、医療、交通、教育分野における地域課題に対し、斬新な発想とテクノロジーで解決する方法を議論した。2日目には、観光、スマートシティ、ドローンをテーマにした3つのパネルディスカッションが行われた。最初のセッションでは、佐賀県のCIOなどを経験した岡山出身の森本登志男・総務省地域情報化アドバイザーらがパネラーとして登壇し、瀬戸内・中四国の観光資源をはじめ、地域イベントの価値を映像やSNSのコミュニティづくりなどで高めていく方法を、事例を交えた紹介した。
パネルディスカッションは、地域創生に関連する5つのテーマで議論があった
続いて「次世代マチづくりマチ興しイノベーション」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。パネラーとして登壇したインテルの井田昌也・執行役員は、クラフトビールの普及が進む中で、IoTを使った生産・物流管理や普及促進に関するソリューション例を紹介。同じくパネラーのシスコシステムズの濱田義之・執行役員最高技術責任者(CTO)は、京都市と共同で展開するスマートシティの実証実験などについて説明した。
最後のパネルディスカッションは、ドローン・ジャパンの春原久徳・取締役会長がモデレータになり、離島への物流をドローンで展開する事業を展開するかもめやと、産業向けドローン利用で業界先端を行くルーチェサーチが、各分野でのドローン利用を紹介した。
今回開催したマッチングイベント「DX Innovation Forum」は、「Season.1」で、今後も、「Season.2」「Season.3」と継続して開催する方針だ。
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