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週刊BCN、名古屋でSIer・リセラー向け最新トレンドセミナーを開催
2017/06/19 11:01
基調講演には、クラウド利用推進機構の森洋一・総合アドバイザー・テクノロジー・リサーチャーが登壇し、「米自動運転車開発にみるIT産業のパラダイム・シフト!」について解説した。森氏は、「自動運転車は、AI、IoT、ビッグデータの活用を進め、新しい部品を世界中から集めてこないとつくれない。結果として、自動車業界は垂直産業だったが、この新しい動きが水平産業化を促している」と、米グーグルの事例や、従来の3大自動車メーカー、テスラの自動運転への取り組みなど、米国の最新事情を紹介。そのうえで「現在、進行中のイノベーションはITと機械の融合。それで産業の大変革が起こっている。新しい価値をもつ製品を生み出すことが期待されているし、実際にそれが起こっている」として、ITベンダーやITエンジニアこそが他産業と連携して、新しい価値をもつビジネスを開拓できる可能性を秘めているとの見解を示した。
クラウド利用推進機構の森洋一・総合アドバイザー・テクノロジー・リサーチャー
続いて各セッションでは、現在、市場で大きな注目を集める製品のベンダーが自社製品の概要、メリットやパートナー戦略などを説明した。
セッション1では、アーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部部長が「NAS型データ共有とデータ保全アプライアンスのご紹介」と題して講演した。寺本部長は、同社の主力製品ブランドであるデータ保護アプライアンス「Storend」について、「データ共有とバックアップをワンパッケージにして、データの置き場を簡単につくれる製品」と説明。開発の背景としては、「ユーザー企業の情報システム担当者は、ファイルのセキュリティや保護までを考慮したファイル共有の仕組みを導入したいと考えているが、その場合、安価な装置では機能的に十分ではないし、寄せ集めの構築では整合性を担保するのが難しく、運用・保守も大変になる。SIerからも、そうしたニーズに応えるような、バックアップまでがきちんとできて、現実的なコストで手離れよく提供できるソリューションが求められていた」と話した。これらの課題を解決すべく、「専門の担当者がいなくても導入・運用でき、短時間でセットアップできるオールインワンのNASとして、Storendを開発した」といい、パートナーにとっても扱いやすい製品であることをアピールした。
アーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部部長
セッション2では、ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春・システムズ・エンジニアリング・マネージャーが登壇。「仮想化時代に求められる先進のデータ保護対策とは?~今世界中で注目されるアベイラビリティによるデータ保護のポイント~」をテーマに同社製品の特徴を解説した。吉田氏は、仮想環境でのデータ保護の課題として、「VM内で稼働するアプリケーションの整合性の保証と、何かあったときに必要なものを必要な手順で復元できるかは大きな問題。さらに、共有ストレージの負荷増大、増えるデータ量、不透明な仮想環境への対応のほか、当然クラウド対応も必須になってきている」と指摘したうえで、そうした課題を解決できる製品として、同社の主力製品「Veeam Availability Suite」を紹介。「仮想環境専用のバックアップとレプリケーション機能を実装、主要ストレージメーカーと連携し、大企業向け製品並の機能をSMB向け製品レベルの価格で実現する」と、ポイントを説明した。
ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春・システムズ・エンジニアリング・マネージャー
セッション3では、インフォテリアの垂見智真・ASTERIA事業本部マーケティング部部長が、「データの利活用を促進するビジネスプラットフォーム 国内シェア№1データ連携ツール『ASTERIA WARP』と活用事例のご紹介」と題して講演した。同社の主力製品であるデータ連携ツールのASTERIA WARPシリーズのなかでも、従来製品よりもスモールスタートに適した、月額3万円からのサブスクリプション型で利用が可能な「ASTERIA WARP Core」にフォーカス。「昨年リリースしたASTERIA WARP Coreは、データ連携によりさまざまな業務を自動化する。昨今流行のRPAを、ASTERIAは10年前から実現している。また、他社のデータベースやクラウドサービスとの連携アダプタも、60種以上あり、拡張性も高い」と説明した。ASTERIA WARP Coreにより、ユーザーの今日的なニーズに適合しつつ、豊富な実績のある信頼性の高い技術をベースにしたソリューションを提供できることを強調したかたちだ。
インフォテリアASTERIA事業本部マーケティング部の垂見智真部長
セッション4では、キヤノンITソリューションズ基盤・セキュリティソリューション企画センター企画部企画二課の小林順明氏が登壇。「新たな『入口対策』『出口対策』をキヤノンITSとともに提案しませんか?~いま必要な『標的型攻撃対策』とは~」と題して講演した。小林氏は、「標的型攻撃は激化しており、その約8割がメール経由であることが確認されている。不審なメールを開かないようにするなどの社員教育も必要だが、システムによる標的型攻撃メール対策が必要。また、標的型攻撃を受けてマルウェア感染した場合は、監視、認証、遮断という三つのポイントで出口の防御を行い、万一侵入を許しても、情報を盗まれにくい環境をつくることが重要」と指摘。そのうえで、同社の総合情報漏えい対策ソリューション「GUARDIANWALL」シリーズが、不審メールや悪意ある添付ファイルの検知、出口対策としてのプロキシ認証機能など、充実した標的型攻撃対策機能をもっていることを説明した。
キヤノンITソリューションズ基盤・セキュリティソリューション企画センター企画部企画二課の小林順明氏
セッション5で登壇したのは、エンカレッジ・テクノロジの日置喜晴・事業推進部長だ。「競合ベンダーとの提案を差別化!セキュリティ対策と利便性を両立するシステム管理ツールご紹介」をテーマに、セキュリティ対策の一環として、特権アカウント管理の重要性を指摘。「標的型攻撃を受けてマルウェア感染してしまった場合、特権アカウントの認証情報を奪われて重要情報が持ち出されたり、改ざんされる可能性がある。一旦、特権アカウントを奪われると、システム上は正常なアクセスとしてみなされるため発見が難しい」と、対策しなかった場合のリスクの大きさを説明した。そのうえで、同社の主力製品「ESS AdminGate」について、「特権アカウントの管理を自動化し、セキュリティを高めるとともに、システム担当者の利便性を向上する。多くのお客様の関心は入口・出口対策だが、内部対策という現時点では“目から鱗”の提案ができ、パートナーの皆様には競合と差別化するためのツールとしても活用していただける」と訴えた。
エンカレッジ・テクノロジの日置喜晴・事業推進部長
セッション6では、「TCP通信の課題を解決するあたらしいソリューション『Tbridge』のご紹介」と題して、チエル第三営業課名古屋営業所の伊藤翼氏、韓国NOASystemsのクム・チョンジェCEOが登壇した。伊藤氏は、「チエルは、NOA Systemsが開発したTCP通信を最適化するソリューションであるTbridgeの日本国内総販売元として教育機関などを中心にビジネスを展開している」と説明。Tbridgeの詳細については、開発元であるNOASystemsのクムCEOが解説し、「ネットワークモニタリング、転送速度改善、トラフィック制御という三つのステップにより、安定的で信頼性の高い無線LAN環境が提供できるTbridgeは、ネットワークソリューションの新提案といえる。ネットワーク上にブリッジ接続するだけで簡単にTCP通信を最適化でき、TCPトラフィックの転送速度は2倍から8倍の向上が見込め、エンドユーザーが快適に無線LANを活用できるようになるのはもちろん、管理者の手間も大幅に削減できる」と話した。
チエル第三営業課名古屋営業所の伊藤翼氏
NOASystemsのクム・チョンジェCEO
最後に、主催者講演として、週刊BCNの本多和幸記者が、FinTechの最新事情などを取材情報をもとに解説した。
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