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オージス総研 統合認証プラットフォーム「ThemiStruct Identity Platform」AWS対応版で無停止アップデートを実現 APIのアクセス管理で企業のデジタルビジネスを支える
2017/04/26 09:00
週刊BCN 2017年04月17日vol.1674掲載
無停止アップデートの実現で、利用者に影響を与えない
オージス総研では、2001年に統合認証ソリューションを開発。もともとは社内向けに構築してきたものだが、09年には「ThemiStruct」のブランドを冠し、社外向けにも展開を開始。オープンソースの技術をベースとしたThemiStructは、オンプレミス環境での運用を前提に、シングルサインオン、ID管理、ワンタイムパスワード、電子証明書認証といった機能を提供してきた。サービス事業本部テミストラクトソリューション部の八幡 孝副部長(右)と
同部プロフェッショナルサービス第一チームの千野修平氏
その後、16年3月にThemiStruct Identity Platformをローンチした。システム基盤としてアマゾンウェブサービスのパブリッククラウド「Amazon Web Services(AWS)」を採用し、スケーラビリティと可用性の担保を図っている。八幡孝・サービス事業本部テミストラクトソリューション部副部長は、AWS上で動く認証基盤の提供に至った背景を「認証基盤を利用したいという顧客の要望は、以前は、社内システムや取引先向けにというものが多かったが、最近ではクラウドサービスの利用や、一般消費者向けにサービスを提供するうえで使いたいという方向にシフトしている。そのため、アクセスの集中などによって停まらないものをより簡単に設計することが求められた」と話す。
そして今回、ThemiStruct Identity PlatformAWS対応版Version1.2.0をリリースした。最大の特徴は、新たに「無停止アップデート機能」を追加したことだ。管理者用のコンソール画面で「アップデート」を選択するだけで、認証基盤を稼働させながら、パッチの適用やサービスの追加などのメンテナンスが可能になる。同部プロフェッショナルサービス第一チームの千野修平氏は、「認証基盤のメンテナンスの際、従来は基盤そのものを停止させるというステップが必要だった。つまりその間、利用したい人が利用できなくなるということ。しかし、それがとくにECサイトのようなエンドユーザー向けのサイトだった場合、利用が中断すると売り上げや満足度の低下につながってしまう。そのため、無停止でメンテナンスができる機能に対する要望が多かった」と説明。「今回、認証基盤を停めることなくアップデートができるようになったことで、より一層の拡販が期待できる」と力を込める。
また、最新版ではこのほか、ワンタイムパスワードや指静脈による多要素認証、利用者の認証を独自にカスタマイズできる機能などを追加している。
APIの公開で必要なアクセス管理を提供する
ThemiStruct Identity Platformは、これからも進化していく。今、オージス総研が強化しようとしているのが、ウェブAPIとの連携だ。八幡副部長は、「企業がデジタルビジネスを進めていくにあたって、APIの活用は欠かせないものになっている。APIを活用することによって、短期間で新たなサービスを提供することができる」としたうえで、適切な利用者が手軽に利用するために、「APIを活用していくにあたって、アクセス管理が重要になる」と指摘する。昨年8月には「Microsoft Office 365」との認証連携に対応したことで、OfficeクライアントとのID統合が可能になった。今後も対応する外部サービスは増える予定だ。
さらに、「認証基盤と連動してAPI連携の認可を出せるような仕組みの開発を行っている」と、八幡副部長は説明。オージス総研では顧客のAPI公開・運用をサポートする「API公開支援ソリューション」も手がけているため、そうしたソリューションと認証基盤でシナジーを発揮しながら、APIを活用したビジネスを考えている顧客へ、ThemiStruct Identity Platformを提案していく方針だ。
また、ThemiStruct Identity Platformは現在、システム基盤としてはAWSにしか対応していない。そのため、他のクラウド基盤をすでに利用していたり、そもそもクラウド上にデータを置くこと自体に抵抗を覚える企業に対しては、十分に訴求しきれなかったという。今年は、対応するプラットフォームの拡充も強化していく考えだ。
ThemiStructブランド全体では、60社超のユーザーの導入実績を誇る。八幡副部長は、「01年から認証基盤を提供し、ノウハウがたまっている。また、テミストラクトソリューション部という専門部隊が、お客様のニーズに合うものをつくって提供している」と、同社製品の強みを強調。今後、「デジタルビジネスを行う企業をサポートしながら、20年までに現在の規模の倍まで伸ばしていきたい」と抱負を語った。(前田幸慧)
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