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インフォファームとシフト カメレオンコード事業を拡大業種別のソリューション増やす
2017/04/12 09:00
週刊BCN 2017年04月03日vol.1672掲載
膨大な資料の管理で実績多数
岐阜県岐阜市に本社を置くシステムインテグレータ(SIer)のインフォファームは、10年ほど前からシフトで展開するカメレオンコードに着目し、両社で共同事業を展開していた。14年10月には、より緊密に連携し関連ビジネスを拡大するため、シフトを子会社化。インフォファームが自社開発した顧客管理システム(CRM)「戦略箱ADVANCED」などのパッケージ製品と連携させたソリューションを強化してきた。カメレオンコードは、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックを使った高速・高精度の複数認識が可能な次世代カラーバーコードだ。接写をせずに画像の一部にカメレオンコードを撮影すれば、一度に複数の物を認識できる。バーコードやQRコードのように、専用の読取用デバイスは不要で、スマートフォンやウェブカメラなどで認識できる。
専用デバイスを認識用に開発する必要がないだけでなく、コードを出力するための専用ライタを使わず、市販のプリンタで印刷できる。辻社長は、「低コストで非接触の認識を実現できるため、引き合いが増えている」という。
インフォファームの辻 博文社長と
シフトの藤田朋彦・営業部部長
シフトの藤田朋彦営業部部長は、カメレオンコードの優位性について、次のように語る。「カメラの認識範囲内にコードが現れると瞬時にコードを認識する。そのスピードは、コード1個で0.3秒。複数一括認識でも1秒以内に完了する」。離れた場所から認識できるため、ウェブカメラやネットワークカメラ、監視カメラなどのカメラを使用した案件が多くなっている。物流倉庫や図書館など、物品を管理する現場では、目視確認やバーコードで一つひとつを読み取る方法が大半だが、「こうした作業を大幅に効率化できる」(同)と、市販システムと連携した業種向けソリューションを拡充してきた。
15年3月には、NTTデータと連携し東京都の町田市立図書館からカメレオンコードを使った高速で蔵書点検ができるシステムを受託し、両社で構築した。同図書館は従来、本にバーコードを付け専用読取デバイスで蔵書管理していた。カメレオンコードを使ったシステムに切り替え、ソフトウェアを入れたスマートフォンで読み取る方式で、「蔵書点検」や「セルフ予約棚」を実現した。
藤田部長は、「NTTデータとは、この仕組みを使い、別の図書館への横展開や公的機関、金融機関など、膨大な資料管理が必要な分野へ提供拡大をねらう」と話す。
ITベンダーとの協業拡大へ
インフォファームは今後、こうした図書館などでの実績を訴求するとともに、自動認識や監視カメラなどを展開するITベンダーとの連携を加速するほか、自社製品と組み合わせた業種業態に応じたソリューションを開発する。辻社長は、「協業するITベンダーからカメレオンコードの開発キットを使った複数の開発プログラムが登場している。こうしたITベンダーと連携し顧客を開拓する。一方、インフォファームで展開するCRMやSFA(営業支援システム)、勤怠管理と給与計算を連携させた『勤給解決』などと、カメレオンコードを一緒に販売する機会を増やそうとしている。また、顔認証と組み合わせ『二要素認証』をする企業も出てきたため、この領域での案件も増やす」と、カメレオンコードを使ったソリューションのアイデアは多い。
現在、同社がもっとも期待している分野が工場などでの人の管理だ。食品工場では、従業員の帽子の上にカメレオンコードを印刷し、上部に設置した監視カメラで撮影し、誰がいつ入退室したかを管理する。建設現場でも同様に、作業服に同コードを貼り、勤務時間などを管理できるようにする。
辻社長は、「20年に開催の東京五輪でも、各競技会場の入退室に使える。認識のスピードが速く、安価で簡単に認識するシステムが構築できるため、他のITベンダーと連携し提案を進めている」と、五輪景気の盛り上がりに期待を寄せている。
また、カメレオンコードは、他の自動認識、例えばRFIDなどと異なり電波を使って認識する技術でないため、「医療機関や精密機器など、電波が機器に与える影響を心配する領域にも、商機がある」(藤田部長)と、電波障害を気にする領域への進出も検討中だ。
インフォファームでは、自社や他社と連携したシステム構築の売り上げに加え、カメレオンコードの個数単位や人数単位でのレベニューシェアでの販売方法を採用。辻社長は、「月額課金制で利用できるようにし、より導入しやすい環境を整える。現在、この技術をより多くのソフトで利用してもられるように、ライセンスを提供をしている」と話す。このライセンスを活用し、複数のITベンダーでのOEM(相手先ブランドによる提供)も増えている。
今後は、導入前にどの程度認識でき、作業効率をどれほど上げられるかといったコンサルティングも実施している。自動走行のロボットやドローン、ウェアラブルデバイスなど、次世代の機器を利用したソリューション展開も検討している。(谷畑良胤)
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