イスラエルのセキュリティベンダー、CyberArk Softwareは今年1月、日本法人を設立した。同社社長には、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、デジタル・ガーディアンといったセキュリティベンダーで社長を歴任した本富顕弘氏が就任。国内ビジネスの拡大に向けて動きを本格化させている。
CyberArk Softwareは、1999年に現社長兼CEOのUdi Mokady氏がイスラエルで設立。グローバル65か国でビジネスを展開し、Fortune 100企業の4割、世界トップ20の銀行のうち17行といった導入実績をもつという。米NASDAQ市場に上場しており、2016年度の売上高は2億1700万ドル。近年は2ケタ成長を継続中で、今最も勢いのあるセキュリティベンダーのうちの一つだ。
斎藤俊介
セールスエンジニア
同社が提供するのは、Windowsの「Administrator」やUNIX、Linuxの「root」といった、システム管理者などが使う「特権アカウント」を管理するセキュリティソリューション(Privileged Account Security、PAS)だ。「認証情報のロックダウン」「セッションの分離と管理」「継続的な監視」の三つを柱に、特権アカウントのパスワードやSSHキーの保護、マルウェア攻撃からの保護、特権アクセスの管理、すべての特権アカウントに対する継続的な監視などを実現する各種製品を提供している。同社製品のカギとなるのが、特許も取得している「Vault」と呼ばれるテクノロジーで、特権アカウントに関する情報をVault(金庫)のなかで管理する。斎藤俊介セールスエンジニアはこの技術がまさに「CyberArkの心臓部」であると表現し、すべての製品の基盤となっていると語る。
本富顕弘
社長
日本でのビジネス展開にあたっては、すでに7社の販売パートナー、約30社のユーザーを獲得している。今後は製造、金融をはじめとした大手企業をターゲットに販促していくとともに、新規リセラーや技術、コンサルティングパートナーの開拓に力を入れる方針だ。本富社長は、「企業内の最も重要なデータへのアクセスは、特権アカウントが担っており、認証情報が乗っ取られると、攻撃者はセキュリティ管理と監視を突破し、デバイス上のすべてのデータへアクセスが可能になってしまう」と説明。「特権アカウントセキュリティは、まだ日本では浸透していない。特権アカウントセキュリティを、ネットワークやエンドポイントと並ぶセキュリティの新レイヤとして、大手企業に紹介していきたい」と意気込みを語った。(前田幸慧)