SAPジャパン(福田譲社長)、マップアール・テクノロジーズ(MapR、平林良昭カントリーマネージャ)、レノボ・ジャパン(留目真伸社長)は、Hadoop向けのインメモリコンピューティングソリューション「SAP HANA Vora」を使ったビッグデータ活用のレファレンス・アーキテクチャをホワイトペーパーにまとめた。ホワイトペーパーは、パートナー経由で無償提供する。これによりユーザーは、SoR(Systems of Record)とSoE(Systems of Engagement)のデータを統合的に分析・活用するための高品質な基盤づくりをスピーディに進めることができるという。
レノボ・ジャパン
早川哲郎
部長
1月31日、レノボ・ジャパンはメディア向けの説明会を開いた。同社の早川哲郎・データセンターソリューション事業本部製品統括本部ソリューション推進部部長は、今回の取り組みの背景について、「SoRはメインフレーム時代から脈々と受け継がれているシステムであり、何よりも信頼性が求められる。一方でSoEは、小さく始められて、即時に大きくできるスケーラビリティやアジャイル性が求められるし、かなりの瞬間的に増大する大量のデータ処理にも対応しなければならない。これらはそれぞれ独立してITとして存在しても、ユーザー企業に対する貢献度合いは大きくならず、連携させるブリッジをつくることが、ユーザー企業のIT力を強化してビジネスを成長させる」と説明した。
3社は、SoRで豊富な実績のあるSAPのインメモリコンピューティングプラットフォーム「SAP HANA」と、SoEのビッグデータ活用をサポートするHadoop/Sparkの商用ディストリビューションである「MapR」をHANA Voraでつなぎ、HANAのアプライアンス製品に注力しているレノボのサーバー上にビッグデータ活用基盤を構築。SIでは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、菊地哲社長)の協力を得て動作検証を行い、その結果をホワイトペーパーにまとめ、レファレンス・アーキテクチャとして公開したかたちだ。
SAPジャパン
松舘 学
エバンジェリスト
説明会では、SAPジャパンの松舘学・プラットフォーム事業本部SAP HANAプラットフォームエバンジェリストも登壇し、HANA Voraのコンセプトや、同日、日本で提供を開始したHANA Voraの最新版「SAP HANA Vora 1.3」の新機能などを紹介した。HANA Vora 1.3では、HANAで培ってきた高度な分析機能を、ビッグデータ環境でもデータ移動をすることなくそのまま活用できるようになったという。ただし、今回の動作検証は従来版のHANA Vora 1.2を使ったもので、最新版での検証も随時進めていく予定であることを明らかにした。
CTC
後藤真人
エキスパートエンジニア
また、SIerとして協力したCTCの後藤真人・製品・保守事業推進本部エキスパートエンジニアは、「デジタル変革の時代に求められる全社統合的なデータ分析プラットフォームは、従来技術・製品だけでは実現が難しい部分があり、より最適化された新たなアーキテクチャを模索する必要があった」と話し、今回の検証成果を顧客に対するデジタル変革の提案につなげていく考えを示した。(本多和幸)