双日システムズ(南部匠社長)は、ERPの新製品を4月1日にリリースする。純国産ERPパッケージ「GRANDIT」に、自社開発の業種別アドオンテンプレートを加え、独自ブランドで展開する。第一弾として、商社向けERP「SojitzSys商社ERP ver.1.0」と、ITベンダー向けERP「SojitzSys IT企業ERP ver.1.0」をラインアップした。年間平均5社、今後3年間で15社の新規ユーザー獲得を目指す。
中野 勇
課長
GRANDITは、2000年代初頭、日本の中堅企業向けの次世代ERP製品をつくろうというコンセプトの下、商社系のSIerなどが中心となって開発・販売を行うコンソーシアムを立ち上げ世に出た。双日システムズはコンソーシアムの立ち上げ時からのメンバーだ。
同社エンタープライズソリューション本部の中野勇・カスタマーソリューション部GRANDIT事業推進課課長は、「GRANDITに精通したエンジニアの質・量については、他のコンソーシアム参加企業(プライムパートナー)に負けないという自負がある。GRANDITの導入ノウハウはもちろん、総合商社の情報システム子会社として積み上げてきた商社業務、IT企業の業務に関するノウハウも蓄積してきた」と話す。過去に商社やITベンダー向けの導入で共通の要件となった機能は、これまでもアドオンテンプレートとして提供したり、GRANDITの標準機能強化にも貢献してきたという。SojitzSys商社ERP ver.1.0とSojitzSys IT企業ERP ver.1.0は、こうした同社独自の蓄積を反映させ、素のGRANDITと差異化した製品といえる。
成塚健次
技術リーダー
さらに同社は、近年トレンドになりつつあるERPのクラウド化についてもコンソーシアム内でいち早く取り組み、パブリッククラウドへの移行検証を経て、15年には、AWS、Azure上でのGRANDITの本番稼働を手がけている。同社エンタープライズソリューション本部の成塚健次・事業戦略室技術リーダーは、「SAPをはじめとするグローバルERPベンダーがクラウドにシフトしていることもあり、直接彼らと競合することは少ない中堅企業向け市場の案件にしても、クラウド化のトレンドは顕著になりつつある」と説明する。ユーザー側の変化とともに、ライセンスの購入ではなく、「クラウドインフラと同じように、アプリケーションもサブスクリプション方式で利用したいというニーズも高まっている」(中野課長)といい、SojitzSys商社ERP ver.1.0とSojitzSys IT企業ERP ver.1.0は、GRANDITでは初めて、月額料金で提供するプランを用意した。クラウドインフラとしては、前述のAWS、Azureのほか、同じ双日グループであるさくらインターネットのIaaSも選択できる。
GRANDITの最大のライバルはオービックの「OBIC7」だが、中野課長は、「クラウド、サブスクリプションで使うことはまだ国産の競合ベンダーにはできないので、大きな差異化要因になるはず」と期待を寄せる。同社の商流としては、リセラーパートナーも整備しているが、直接販売8割、間接販売2割のイメージで目標を達成する計画だ。(本多和幸)