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「韓国IT EXPO 2016」開催、IoT・AI・FinTechなどの最新動向を紹介
2016/11/09 22:02
今回のイベントには、日本市場で販売実績のある遠隔サポートソリューションを提供するアールサポートや、デジタルフォレンジク製品を提供するDUZONジャパンが展示したほか、FinTechやクラウドサービス、ビッグデータ分析、IoT、セキュリティをテーマした製品・サービス企業のブースが並んだ。とくに、目立ったのは韓国の各種FinTech大会で受賞したロボアドバイザー・サービス(RA)を提供する企業だ。トップ棋士イセドルとの囲碁対決で、AlphaGoの勝利は韓国市場に大きな変化をもたらした。
今年は韓国の大手銀行や証券、コンサルティング企業がRAの導入およびローンチが増えるとともに、RA関連スタートアップ企業が急増した。海外市場を起業時から視野に入れている韓国企業は、今回のイベントを通じて、日本市場進出の可能性を見出そうと目を光らせていた。
来場者で賑わう「韓国IT EXPO 2016」の会場
セミナーでは、東京大学大学院情報学環特任教授の趙章恩氏が、FintechやIoT、スマートホーム、ヘルスケア、ビッグデータ、AI関連分野の「韓国のIT最新動向と未来」と題して、講演を行った。VR(仮想現実)技術を活用したファッションやショッピング、コンテンツ産業の変化、高速ネットワークの普及によるIoTの進化について、韓国の事例を交えて解説した。また、PCやスマートフォンに限っていたサイバー攻撃の対象があらゆる「モノ」になり得ると指摘し、セキュリティを万全にしたICT融合サービスが必要であると強調した。
韓国IT最新動向について講演する趙章恩氏
趙章恩氏は、韓国市場におけるブロックチェーンの導入に向けて、サイバーセキュリティを強化していく動きが見られると述べた。実際、韓国公共領域のパブリッククラウドにブロックチェーン導入の可能性も高く、導入によるデータの分散管理で、セキュリティを強化していく動きが進むとした。
また、趙章恩氏は今年、韓国政府が次々と発表したICT国家戦略に言及。セキュリティの人材育成や政府開発援助(ODA)の一環として、中央アジア、東南アジアのサイバーセキュリティ犯罪の捜査を強化するなど、あらゆるICT国家戦略がセキュリティに焦点を合わせていると語った。日本のマイナンバー制度の導入にもこうした動きが影響を与えるとし、マイナンバーに集約されたデータの分析では、万全なセキュリティ体制が欠かせないとした。韓国ICTの未来にも触れ、想像でしかなかったことがIT技術によって簡単に実現できると指摘。技術力の進展もさることながら、すぐれたアイデアや創造力とICTを融合させることが、最も重要になると語った。(鄭麗花)
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