オープンソースソフトウェア(OSS)を活用したビジネスを支援するビジネスOSSコンソーシアム・ジャパン(BOSS-CON JAPAN)が、SIerの事業改革を後押しするための情報発信を行っている。同コンソーシアムは、OSSの世界では技術コミュニティの活動が盛んな一方、個々のOSS開発会社は販売促進や事業推進といったマーケティング面の基盤が弱いという問題に対応するため、2012年に発足。OSS技術者やインテグレータの認定プログラムを運営するほか、会員企業の情報交換の場を設け、OSS開発会社とSIerなどの連携を支援している。
基調講演を行った
ネットコマースの
斎藤昌義・代表取締役 7月に開催したセミナーでは、「SI会社・開発会社の成長戦略・商材・ツールを考える」と題し、ITベンダーの事業戦略にOSSやクラウドをどう生かすべきかを議論。基調講演ではネットコマースの斎藤昌義・代表取締役が登壇し、“デジタルトランスフォーメーション”が叫ばれる時代のITビジネスの今後について語った。斎藤代表取締役は、「OSSの最大の価値は『他人の成果を自分の成果にできること』。オープンな技術やデータに自分の付加価値を組み合わせることによって、価値観や世の中のあり方を変えることができる」と説明。さらに、インフラのクラウド化が進んだことで、顧客は手段としてのITではなく、ITが生む価値自体に投資を行う考え方に変化しており、人月計算型のビジネスとは相反する市場環境になっていると指摘。一時的にIT投資が増えている今こそ、開発現場の稼働率を下げてでも“ポストITビジネス”の戦略を描かなければITベンダーに未来はないと強調した。
OSSを活用したビジネスの成功事例としては、アジャイルウェアの川端光義CEOが、プロジェクト管理ツールRedmine向けに開発した機能拡張プラグイン「Lychee Redmine」を、プライム・ストラテジー クラウドインテグレーション事業本部の大島義裕・営業部長が、コンテンツ管理システムWordPress向けの高速実行環境「KUSANAGI」を紹介した。また、日本IBM クラウド事業統括 エコシステム・デベロップメントの宋珠憲氏が、「Bluemix」などの同社クラウドとOSSとの親和性を説明したほか、アシアルの塚田亮一取締役が、HTML5でモバイルアプリケーションを開発できる「Monaca」を紹介し、クラウドやウェブ技術の活用による生産性や収益の向上手法を解説。クロージングにはBOSS-CON JAPAN吉政忠志理事長が登壇し、人口減少やITのサービス化による収益減に直面するベンダーの成長戦略を考察した。(日高 彰)