ニュース

ワンツーシーエムジャパン 「echoss Stamp」 スマートフォンに押す電子スタンプ

2016/08/30 19:15

週刊BCN 2016年08月22日vol.1641掲載

 ワンツーシーエムジャパン(辛晟源代表取締役)は、マルチタッチ方式の認証処理技術をもとに開発した電子スタンプシステムechoss Stampをベースに、O2O事業を立ち上げ日本市場に向けて本格的な展開を開始している。2015年5月の日本法人設立から1年余りが経過して、初年度(16年3月期)に黒字化を果たし、出だしは好調のようだ。

クラウド基盤のO2Oサービスを日本市場で本格展開

 スマートフォン端末で認証可能なechoss Stampシステムは、静電気タッチ方式のechoss Stamp(図)に加え、SDKが組み込まれているウェブやアプリ(管理画面を含む)、スタンプを認証する認証センターで構成されている。静電気を通す五つのポイント(接点)間の角度、距離、押される順番で400万通りのパターンができ、パターンの数だけユニークなスタンプをつくり出すことができる。

echoss Stamp

金庚沢
ゼネラルマネージャー
 あらかじめ、システム側に店舗情報を登録しておき、ポイントサービスの適用条件を設定する。例えば、スタンプの数が貯まればクーポン券を発行し、クーポン券を使用しない場合は継続してスタンプを貯め、より大きな割引クーポン券を発行することができる。クーポンを使用した場合は、クリアリング処理が行われ、また貯め直すことができる。主に紙で行っていたポイントサービスを消費者の習慣や行動を変えずに利用できるのが、一番の特徴だ。ワンツーシーエムジャパンの金庚沢ゼネラルマネージャーは、「スタンプを押すという文化の再現やサービスの浸透しやすさ、デジタルのギミックがもたらすユニークなユーザー体験の提供で、店員とのコミュニケーションにもつながる」と、強みを語る。今まで、たくさんのスタンプカードを持ち歩いていた煩雑さから解放され、端末一つでさまざまなポイントサービスが手軽に実現でき、店舗の販売促進にもつながる。

 韓国京畿道城南市にある板橋にオフィスを構えている本社は、設立当初からグローバル市場を視野に入れており、日本のほか、台湾や中国にも拠点を設立あるいは設立を予定している。そして、グローバル事業で最も重要な市場として捉えているのが日本市場だ。ワンツーシーエムジャパンは、すでに、NECネッツエスアイやバリューコマースなどパートナー5社を開拓しており、スープストックトーキョーやクリスピー・クリーム・ドーナツ、上島珈琲、サーティワンアイスクリームなどの店舗への導入実績を誇る。システムの特徴について金ゼネラルマネージャーは、「短期間、低コストでシステムの構築が可能だ」とし、ユーザーに合わせたカスタマイズができるほか、スタンプ1個5000円、同社のASPの利用で月額5000円から使用でき、管理画面に店舗写真やクーポン条件などを設定して、気軽に利用できる。

 金ゼネラルマネージャーは、「静電気タッチ方式の電子スタンプサービスはグローバル市場で約20社が提供しているが、グローバルで2万以上の商用のアカウント数を保有するのは弊社だけ」と、承認成功率98%にのぼる技術の優位性がサービスの拡大につながったとアピールする。同システムの開発段階では、「サウンドコード方式やNFC、ビーコンなど、さまざまな技術の試行錯誤を繰り返した結果、ユーザーにとって使いやすいスタンプの形にたどり着いた」と、220以上の特許による技術の優位性を強調した。

 7月21日には、韓国の朴槿恵大統領が韓国本社を訪問し、技術の優位性やユーザー視点に立ったさまざまなソリューション、また、グローバル進出を一年で果たした実績を高く評価した。日本市場について金ゼネラルマネージャーは、「16年には4万店舗、18年までには20万店舗の導入を達成したい」と目標を掲げ、O2OペイメントサービスやO2Oコマースサービスなど、新しいサービスの拡充でユーザーの拡大を狙う。
(鄭麗花)
  • 1