ニュース
BCN、「BCN Conference 2016」でITベンダー各社がオープンイノベーション時代の強みをアピール
2016/08/25 22:02
「BCN Conference 2016」を開催
多くの聴講者が訪れた
午後のセッションは三つのトラックで展開。「Track A」では、まずArcserve Japanの今井敏博・ソリューション統括部統括部長が登壇し、「バックアップはクラウドでも必要です!Arcserveがクラウド時代にも選ばれ続ける理由とは?」と題して講演した。今井統括部長は、日本市場でトップシェアであることを踏まえて「導入企業が多いという実績や安心感によって、当社の製品はクラウド時代でも選ばれている」と述べたほか、バックアップ対象ノードのみの課金によって販売パートナーが提案しやすいこと、機能を追加・拡張する際に追加購入が不要であることなども理由としてあげた。
続いて、クラウド利用促進機構の森洋一・総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーが「イノベーションと日米IT文化の考察<整理が進んだ米クラウドと自動運転車の開発競争>」をテーマに、有識者の立場から「いま進んでいるイノベーションは、AIとロボティクスを融合した産業の大変革で、インダストリー4.0を超えている」と説明。「新しい価値で日本の少子化をカバーしながら活力を取り戻すチャンス」と訴えた。
また、データドックの宇佐美浩一社長CEOが「ビッグデータ分析特化型データーセンターとサービスのご紹介~SIerとマーケティングコンサルの協業点を探る~」と題して講演。2018年初頭に本格稼働を予定している長岡データセンター(DC)について、ラックあたりの集積度を大幅に高められるのと同時に、雪氷の活用でIT機器の冷却(空調)に必要な電力コストを年間を通じて大幅に削減、高規格・エコであることを訴えたほか、「ユーザー企業のなかでは、データで攻めたいマーケティング部門とデータを守らなければならないシステム部門と二つの部門の考えが異なり、企業ではデータ活用が進まない傾向がある。長岡DCを通じて、両部門が満足するよう橋渡しをしていきたい」との考えを示した。
東レ経営研究所の増田貴司・産業経済調査部門長チーフエコノミストは、「IoT時代の産業の新潮流と日本の製造業の生き残り策」をテーマに、「お客様にどのような価値を提供できるかを考えることがIoT時代のあるべき姿。今までのやり方を変えるべき」と訴えた。加えて「他社が破壊的イノベーションをとり入れた場合、新しい取り組みで戦う必要がある」と説明した。
「Track A」の最後は、NTTPCコミュニケーションズの池上聡・サービスクリエーション本部第一サービスクリエーション部部長が「顧客に響く‘IoT’の進め方~‘IoT’の実力と可能性・取組み事例から得た気づき~」と題して、「お客様の課題を解決するためには、さまざまな角度からサービスを提供していくことが必要になる。1社では解決できないため、当社ではサービスをブロック形式で提供している。これによって、SIer様とさまざまなパートナーシップを組んで、お客様の課題を解決していく」との方針を示した。
「Track B」では、まずティントリジャパンの猪飼光明・SEマネージャーが登壇。「仮想マシンを自動最適化!ティントリフラッシュストレージで快適仮想環境を!」をテーマに講演した。猪飼SEマネージャーは、「従来のストレージは仮想マシンごとにI/Oを分別管理できない」と話し、仮想化環境で発生しやすい性能問題の解決には仮想化専用のストレージが求められると説明した。
ディー・ディー・エスの久保統義・営業担当取締役兼バイオ事業本部本部長は、「指紋認証シェアNo.1のDDSが動画顔認証を初披露」をテーマに、今秋発売の多要素認証製品で新たに搭載する動画顔認証エンジンを紹介。「米国国立標準技術研究所の試験で認識率世界2位として評価されている」と、精度の高さを強調した。
また、『週刊BCN』編集委員の谷畑良胤がモデレータ、サイボウズの伊佐政隆・kintone プロダクトマネージャーとソニックガーデンの倉貫義人代表取締役CEOによるパネルディスカッションも開催された。「『情報システムのターゲットが変わった!!』~今起きている変化と見えてきたITベンダーの課題とは~」をテーマに、企業によるIT投資の主体が情報システム部門から業務部門へとシフトしている昨今の市場環境のなかで、ITベンダーはどう対応すべきかを議論した。
このなかで、サイボウズの伊佐マネージャーが「kintoneユーザーの8割は業務部門だが、kintoneで多くの顧客を獲得しているパートナーは、そのベンダーに依頼したら何を提供してもらえるのか、顧客と共通の言葉で語れる工夫をしている」と話し、非IT部門との“共通言語”の必要性を指摘した。また、ソニックガーデンの倉貫代表取締役CEOは「どれだけ成長するかわからない新規事業のためのITは、要件定義がそもそも困難。要件定義-開発-納品を行う業者ではなく、継続的にソフトウェアの機能や品質を改善していく相談相手が求められている」と、同社が月額制で提供する「納品のない受託開発」モデルを紹介した。
「Track B」の最後は、ベリタステクノロジーズの上雄記・テクノロジーセールス&サービス統括本部セールスエンジニアリング本部パートナーSE部部長が「先進のシステムだけが運用をシンプルにする!一歩先行くベリタスの情報保護戦略とハイパーコンバージドバックアップの価値」と題して講演。OS、ソフトウェア、重複排除ストレージがすべて含まれているバックアップアプライアンスの需要が伸びていることを説明し、「迅速に提案できるため、販売パートナーがビジネスチャンスを逃すことがない」と強調した。
「Track C」では、まずNECの浅賀博行・パートナーズプラットフォーム事業部事業部長が「ビジネスが変わる!IoT時代を支えるICTプラットフォームの今後と新たなビジネス創出に不可欠なパートナーリング」と題して講演。浅賀事業部長は、企業のICT投資の目的が「ビジネスのコスト削減や効率化から、新たな価値の創造へと変化している」と説明。そのキーテクノロジーのひとつであるIoTを解説するとともに、顔認証システムをはじめとした同社のIoT向け商材を紹介した。
また、横河レンタ・リースの毛利公彦・事業戦略担当執行役員と松尾太輔・システム事業本部エンジニアリング事業部事業推進部部長が、「クラウド時代に最適なデバイスサービス『ITレンタル』と『データレスPC』のご紹介」と題して、主力サービスの強みを説明した。毛利執行役員は、来年30周年を迎えるにあたって「モノからコトへ」「所有から利用へ」に取り組んできたビジネスの概略について話すとともに、いつでもどこでも安全にワークスタイル変革を実現するソリューションとして、データレスPCソリューション「Flex Work Place」を提案。続いて松尾部長が、同ソリューションについて「セキュリティと利便性の両立を目指していることが最大のポイント」とアピールした。
さらに、前川徹・国際大学グローバル・コミュニケーション・センター/サイバー大学IT総合学部教授が「オープンイノベーションとベンチャー企業」と題して講演し、日本と海外のベンチャー企業が属する環境などについて解説。「画期的な技術・サービスを生み出し、イノベーションを起こしているのはベンチャーだ」と強調した。
「Track C」の最後には、シュナイダーエレクトリックの安西出・IT事業部パートナー営業本部本部長が「IoTによって需要が急拡大!サーバーだけじゃない電源管理の重要性」をテーマに講演。ネットワークの遅延が大きなリスクになりうるIoT環境について、電源管理の重要性を指摘したほか、「データ遅延が許されないシステムや、サーバー以外の装置に対する電源管理の需要が高まってくる」と説明した。
また、イベントでは展示ブースも設置。多くの聴講者がセッションの合間にブースを訪れた。
展示ブースも活気が溢れていた
- 1
外部リンク
週刊BCN+=https://www.weeklybcn.com/